はじめに
プロダクト開発部でキャリア事業のEM(エンジニアリングマネージャー)をやっている大野です。前回は、私がエンジニアリングマネジメントをするに当たってどのようなアプローチをとっているのかを紹介しました。
今回は、他のEMと会話している際に、「EMが取り組む施策は失敗する可能性が高いよね」という話があがり、それに対して共感できる部分もありつつ、じゃあどうすればいいのか?を考える機会になったので、まとめてみました。
EMが取り組む施策は失敗する可能性が高い?
EMやそれに近しい役割を経験したことのある方なら、思い当たることがある人も多いのかなと思います。
- 自身の成功体験を元に組織改善しようとするが、中々変えることができない
- 他社のよい事例を参考に、自社での取り組みを開始したがうまく軌道に乗らない
などです。
私自身も、過去こういった経験がそれなりにあり、現在でもそういった場面に出くわすことはあると感じます。
なぜそういったことが起こるのか
一概にこうだ!という理由はないと考えていて、たとえば以下のような阻害要因が経験としてはあります。
- 現場とEMとの温度差
- 現場は常に忙しく、余力がない
- EMとメンバーで見えているものが違い、課題として認識していない
- 導入時はよかったが、除々に形骸化したり廃れてしまった
どうすればいいか?
こういった課題を解決するために、どうすれば組織・チームが動くのかをEMは日々トライ&エラーを繰り返していく形になります。こういった答えが明確にない課題解決を繰り返していくことで、EMとしてのスキルが磨かれていくと感じています。
私自身、何かに取り組む際、最低限意識するよう心がけていることがあります。以下でそれらをご紹介します。
1. まずは情報収集
前述した阻害要因の多くは、自分の持っている情報が不足していることに起因しています。そのため、今でも1on1やエンジニア以外の職種の方と接する機会を活用し、課題感を把握するよう努めています。
2. 期待値のすり合わせ
もう1つ大事なこととして、相手との期待値を合わせていくことです。
EMがやりたいことを理解してもらい、そこにメンバーも同じような期待値を持ってもらうことで、取り組みの進み方が変わってきます。
3. セカンドペンギンを意識する
ビジネス用語のセカンドペンギンとは少しニュアンスが異なるのですが、勝手にそう名付けています(笑)何か新しい取り組みをする際、1人目が動いた後、2人目、3人目が続くか、同じような熱量で取り組んでくれるか、がその後に大きく影響します。
私自身、推進していく内容に合わせてファーストペンギンになることもあれば、セカンドペンギンになることもありますし、すべてメンバーに取り組んでもらうこともあります。
4. 失敗を恐れないチームづくり
これは言葉のままですが、何かチャレンジしようとした際のフットワークの軽さに影響します。失敗しても問題がないことや、そもそもチャレンジを推奨するようなチームにしていくべきです。
たとえば、リファクタリングと影響範囲に伴う不具合の懸念等を天秤にかけているメンバーがいた場合には、
- 万一、不具合が発生してもリカバリーすればよい
- 合わせて自動テストを書くチャンス
など、チャレンジを後押しするよう日々接することで、チーム文化として根付いていきます。このような文化を作っていくことで、EMのやろうとしていることについても「すぐにはうまくいかないかもしれないけど、チャレンジしてみよう」とフォロワーシップを発揮してくれるメンバーが増えてくるのではないかと思います。
EMの職能
上記で記載した内容は、とても重要とは思いつつも、「どういうスキルか?」と問われると一言で表すことのできない難しさがあります。
情報収集する際に、専門的な知識が必要になる場合もありますし、事業理解が必要な場面もあります。期待値を合わせていくのに、信頼関係が構築できているようなコミュニケーション能力も必要でしょう。
そういった正解が決まってないことに対して自他の強みを活かし、成果を出すのがEMで、その再現性を高めるのがEMの職能となるため、EMの職能がはっきりと定義されたものを見ないのはそういう面があるのかなと思います。
経験上、EMとしてトライ&エラーを多く経験している人ほど、上記のような自分なりのやり方の引き出しが多い印象です。
おわりに
今回は他のEMとの話をきっかけに、EMの失敗からの学びと、そこからどういった行動に結びつけて解決していけばよいかを考える機会になりました。