エス・エム・エス社員が語るコミュニティ活動:加我さん・山口さん対談

こんにちは、エス・エム・エス テックブログ運営の大縄です。

今回は、同時期に SRE としてエス・エム・エスに入社した加我さん、山口さんによる、コミュニティ活動に関する対談記事をお届けします。

自己紹介

——本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

加我さん:

私は 2024 年 4 月にエス・エム・エスに中途で入社しました。新卒では Java プログラマーとして中小の SIer に入社したんですが、色々と社内での調整があり、 QA エンジニアとしてキャリアをスタートしました。その中で、サーバーのミドルウェアの検証や評価計画を行う過程で OS のインストールやハードウェアの構成変更を経験しました。QA 業務自体は楽しかったのですが、でもやっぱりプログラミングをしたいという気持ちがあったので、PHP のバックエンドエンジニアとして 2 年間ほど活動しました。当時サーバー障害でレンタルサーバーのデータが消えるという問題が発生し、それをきっかけにインフラに興味を持つ様になりました。その後、インフラエンジニアに転身し、現在は SRE として働いています。元々はユーザーとの距離が近い toC のエンタメ事業が好きだったのですが、技術コミュニティ繋がりで弊社の空中さんと話す機会があり、エス・エム・エスの事業内容や技術的な課題、社会課題の解決というスケールの大きな話を聞いて興味が湧き入社を決めました。

山口さん:

私は加我さんの 1 ヶ月後にエス・エム・エスに中途で入社しました。最初は通信系の会社で公衆回線系の仕事をしていたのですが、もっと IT エンジニア的な仕事をやりたいと思って転職しました。ただ、転職後もサーバーやネットワークの構築の仕事が多く、再度プログラマーになるべく転職して生産管理系のシステムを担当することになりました。そこで Java や Oracle Database に触れるうちにデータベースに興味を持ち、DB チューニングをするようになりました。それがインフラへの関心へと繋がっていきました。その後フリーランスに転向し、インフラエンジニアとしての仕事に振り切りました。現在はエス・エム・エスで SRE として働いています。

——共に SRE として働かれているということですが、現在の業務内容を教えていただけますか?

加我さん:

私はカイポケリニューアルの SRE を担当しています。まだリリース前なので SRE 的な活動はそこまでできていないのですが、トラフィックが増えたり障害が発生したときにどうするかなど、正式リリースに向けて土台を固めている最中です。現在は主にモニタリング周りの運用設計を進めています。チームごとにオブザーバビリティのレベル感が違うので、各チームにヒアリングを行いながら全体の運用レベルを合わせていくような活動をしています。今後は SLI、SLO についても考えていく予定です。

山口さん:

私は全社 SRE として活動しており、専任の SRE がいないプロダクトを横断的にサポートしています。今は Reliability に関わる業務よりオペレーションやインフラ面での業務が多く、全社統制の役割もあるので、インフラエンジニアや CCoE が近いかもしれません。最近はセキュリティに力を入れてるのですが、全体的な業務量が多いということもあり、トイルの削減にも力をいれてます。

コミュニティ運営のキッカケ・活動内容

——お二人はコミュティ運営にも積極的に関わられていますが、どのような経緯で始められたのですか?

加我さん:

2014 年頃、AWS を使ったサービスの構築・運用をしていたのですが、当時は AWS を学ぶ環境があまりなく、どうしようか悩んでいたところ、目黒で受けた AWS のハンズオンでJAWS DAYS というイベントを知り、そこからコミュニティというものを知り参加するようになりました。当初はコミュニティの参加者として活動していましたが、2015 年頃からPHP カンファレンス、PHPerKaigi、iOSDC などのイベント撮影スタッフを経て、2022 年に Media-JAWS というメディア系の AWS 活用事例や知見を共有するユーザーグループの運営メンバーに誘われ、運営に関わるようになりました。

山口さん:

私は 5 年前(2019 年)くらいから AWS に関わり始め、Control Tower や Security Hub などの全社統制の仕事をしていたときに参加した Security-JAWS の勉強会で、AWS のサポートの方の発表を聞いたのがキッカケです。そこで自分からも何か発表できることがあると伝えたところ、発表の機会をもらえることになりました。2022 年末ごろに JAWS-UG 千葉支部を紹介され、そこから本格的にコミュニティに関わるようになり、2024 年からは SRE NEXT のコアスタッフとして運営に関わっています。なのでコミュニティの運営歴という意味では加我さんと同じくらいですね。

——コミュニティ運営では実際にどのような活動をするのでしょうか?

加我さん:

コミュニティのイベントは大きく分けて 2 つあって、「勉強会」と「カンファレンス」があります。勉強会はよく connpass などのイベントサイトに立ち上がるようなやつで、数週間〜数ヶ月に 1 回程度開催されています。テーマはその時々で、登壇者は身近な人から探したり、広く募ったりもします。私が運営に携わっている Media-JAWS だと関東近郊だけでなく、大阪、岩手、名古屋などでの開催もあるので、各地方で会場を貸してくれる方や現地で旗振りしてくれる方を探したりすることも重要だったりします。一方カンファレンスは基本的に年に 1 回開催される大きなイベントです。勉強会との違いは、規模はもちろんのこと、企業から協賛を募ったり、登壇希望者から提出されたプロポーザルを運営メンバーが確認し審査する、といった違いもあります。

山口さん:

JAWS-UG 千葉支部もやることはほとんど同じです。JAWS-UG は年に 1 回以上のイベント開催が支部としての必要な条件になっているのですが、それだけだと支部としての活気がないので年に数回開催しています。千葉支部は支部の都市以外の方々にも届けたいという思いがあり、東京開催が多いです。カンファレンス運営は規模も関わる人も多いので、半年くらいのプロジェクトのようなイメージで準備を進めています。チーム分けして、ガントチャート引いて、定例会を開催して、みたいな感じです。

コミュニティ活動も業務の一環

——色々とやることがあるんですね!仕事との両立は大変ではないですか?

山口さん:

主にカンファレンスについてですが、準備は業務後や土日に活動することがメインで、他の運営メンバー含めコミュニケーションもそのあたりの時間帯が活発です。なので、業務が忙しい時期に波があると準備に時間が割けなくなってしまうので辛い面はあります。自分がボールを持った状態で業務負荷が上がってしまうと他の運営メンバーの準備作業にも影響しまうので、作業を誰かにお願いするなど、ある意味マネージメント力も必要になってきますし、なるべく個人に依存する準備作業を作らない、業務の波を作らない、といったことも重要です。ただ、一番大変なのは自分が登壇する場合の登壇資料を作成することですね。

加我さん:

登壇資料作り、大変ですよね。私もそこそこ登壇の機会をいただいており、Interop Tokyo で Medis-JAWS の話をしたり、最近では山口さんも登壇された JAWS PANKRATION 2024 にも登壇しました。JAWS PANKRATION 2024では英語での資料作成が必要ということもあり結構大変でして、業務的にも期限が迫ったタスクがあったので業務時間を資料作成に充てられず、業務後に夜中まで資料を作成していたりもしました。ただ、本来は資料作成も業務の一環と捉えるべきという話は EM ともしていて、今後はあらかじめ計画に組み込むなど業務と登壇資料作成のバランスをとっていくのが健全だと考えています。

山口さん:

コミュニティの運営活動を業務の一環として捉えてもらえるのは嬉しいことですよね。登壇資料作成もそうですが、制作物(パンフレット、ノベルティ、スタンプラリーの景品、アンケートパネル、バナーなど)の作成のように時間がかかる作業について業務時間を使えるので助かります。プライベート時間を全部使う必要がない、ということがコミュニティの運営活動の継続につながっていますよね。

加我さん:

そうですね、あとはカンファレンス当日の運営を業務として扱えることも嬉しいですね。カンファレンスは土日祝開催が多かったり、前夜祭、Day1、Day2 みたいな感じで複数日開催する場合もあって体力的な厳しさがあるので、翌日に代休が取れて助かっています。

——業務の一環としてコミュニティやカンファレンスに関する活動を行いたいと思ったときにどのようなコミュニケーションをとっていますか?

加我さん:

私は EM にイベントの運営や登壇について業務・出張扱いで良いかを確認しながら進めています。例えば登壇であれば、こういうイベントがあって、こういう内容で登壇するとこういう方々にリーチできると思うので業務として参加したいです、といった感じです。

山口さん:

こういうイベントがあるから業務として参加してきて良いですか?くらいフランクなコミュニケーションをとるケースもありますよね。

加我さん:

はい、ただ私の場合は札幌からの参加になるので、飛行機や宿泊の費用が多くかかってくることから、ある程度の参加意義を伝えることが必要だと考えています。フランクに確認しても問題ないとは思うのですが、Slack などオープンなところでこういったコミュニケーションをとることで今後参加したい方の参考になればと思っています。

山口さん:

そうですね、現状は勉強会やカンファレンスに飛行機に乗ってでも参加したいという人がそこまで多くないのである程度融通がききやすい面はあると思うのですが、今後増えてきたときにコミュニケーションの内容が残っていることは重要だと思います。

協賛の提案にも積極的に支援

——オープンな場でのコミュニケーションというと、山口さんがカンファレンスへの協賛に関するコミュニケーションを取られているのを見かけたのですが、そのときのお話を聞かせていただけますか?

山口さん:

はい。JAWS Festa 2024 in 広島に参加するときに協賛してはどうかという提案をしました。Kotlin Fest、RubyKaigi、SRE NEXT など、組織として例年協賛してきているイベントだけでなく、社員それぞれが意思を持って協賛したいといったものについても会社としては積極的に応援していて、費用面の支援を含めた社内稟議のプロセスも整備されています。

加我さん:

イベントへの協賛については採用広報の観点もあるとは思いますが、私達は「その技術やコミュニティへのリスペクト」が前提としてあります。このような考え方や背景があるので会社として勉強会やカンファレンス参加など、業務につながるような学習に対して投資は惜しまないのだと理解しています。

コミュニティ活動が業務に活きる

——コミュニティやカンファレンスに関する活動がどのような面で業務に活きていますか?

加我さん:

コミュニティには様々な人がいるので、バックグラウンドが異なる人たちとコンテキストを合わせながらコミュニケーションをとっていくスキルを向上させられたと思います。特に SRE は社内に関わる人が多く、その時々で相手の目線に合わせた表現をしながら物事を進めていく必要があるので、コミュニティ活動の経験が役立っています。

山口さん:

コミュニティ活動でいろんな人とコミュニケーションをとることで、人の輪が広がり、輪の中の方々の情報発信を拾いやすくなるといった側面もあると思います。そこで得た情報は、今の自分にとってすぐには役立たないけどちょっと先に役立つかもしれないといったものがたくさんあり、業務中にポンとやってきたボールを返すときに、そういえばこういう情報があったなぁという記憶があると調査しやすく、非常に役立っています。カンファレンス開催に着目していうと、プロジェクトみたいな感じで準備が進んでいくので、ファシリテーション、チームマネジメント、プロジェクトマネジメントなどの業務でも使うスキルが必要です。さらに、イベントを運営していく中でもそれらのスキル自体が磨かれていくので、うまくフィードバックループが回っているような感じがします。

加我さん:

カンファレンスなどで登壇することも業務に活きている実感があります。登壇資料に記載する内容については、ざっくりとした理解ではなくしっかり定義を調べることが必要なので、資料を作る中で、意味を調べて、理解して、整理して、まとめる、ということがスキルアップにも繋がりますし、業務にも役立っています。

今後やっていきたいこと

——最後に、お二人が今後やっていきたいことを教えてください。

加我さん:

会社として社外への発信や協賛を応援している状況なので、私自身が登壇することは続けていきたいですし、他の人やアウトプットが苦手な人にも発信してもらうにはどうすれば良いかなども考えていきたいと思っています。ですので、社外発信やコミュニティ支援について興味のある人が入社してくれたら嬉しいなぁと思っています。

山口さん:

改善してきたこと、逆にできなかったこと、苦労したことなど、一般解というよりも実業務でやってきたことを発信していきたいです。それが事業会社にいる強みだとも思っています。また、社外に発信したいといった人が増えた時に JAWS-UG のコミュニティの場を提供できるなど、何かあれば場を用意できるという状態を保っていきたいと思っています。

まとめ

今回はコミュニティ活動の話を中心に対談形式でお届けしました。対談内で出てきましたが、エス・エム・エスはコミュニティ活動、勉強会・カンファレンスへの参加や協賛を積極的に支援しています。その根底にある考え方について『なぜ学習することへ投資するのか』にも詳しく書かれていますので、こちらも是非ご覧いただければと思います!