意思決定の質とアウトプット速度を上げる!プロダクトオーナー(PO)のAI活用例5選

こんにちは!カイポケリニューアルのケア領域でPO*1を務めている岩下です。 育休から復帰し、仕事と家事・育児の両立に奮闘する中で、「AIの活用」はもはや必須の仕事術となりました。

この記事では、そんな私がAIを仕事でどのように活用しているのか、具体例を交えてご紹介します。基本的な活用法が中心ですが、もしかしたら皆さんの日々の業務のヒントになるかもしれない――そんな思いで書いてみたので、ぜひ、最後までお付き合いください!

プロダクトマネージャーはAIをどう使っている?

私のAI活用はまだ手探り状態ではありますが、実践例として特に以下の5つの方法を紹介します。

1. PRD(プロダクト要求定義)の叩き台作成

PRD(プロダクト要求定義)とは、「何のために、どのようなプロダクト(機能)を作るのか」を開発チームやビジネス関係者に共有するための設計図となる文書です。これから開発する機能のWhyやWhat、Howを言語化していくものです。 私はGeminiをPRDの叩き台作成に活用しています。

具体的には、社内で使用しているesa*2のテンプレート(14項目)を直接貼り付けてインプットし、そのフォーマットに沿ってPRDの初稿を作成してもらいます。特に便利なのは、会社のGoogleドライブを情報源としてPRDを作成してくれる点です。 例えば、情報ソースの取得元として【既存のプロダクトについてのVoC(Voice of Customer)をまとめたスプレッドシートURL】や【介護保険制度についての最新情報を集約している共有フォルダ】をプロンプトに入れておきます。これにより、社内の既存ドキュメントや最新情報を参照した、より精度の高いPRDを迅速に作成できます。 これを叩き台に、詳細を追記、あるいは内容に誤りがあれば修正していくことで、短時間で80点くらいのPRDができあがります。

ちなみに、出来上がったPRDは社内の運用ルールとしてリスマネ観点でもレビューをしており、こちらもAIによるチェックができるようになっています。

※ Geminiの「Deep Research」機能は社内で活用が推進されているものではありますが、ソースが一般的なWeb情報になるため、会社のGoogleドライブに格納された情報の信頼性の方が高く、私の業務ではあまり使用していませんでした。が、2025/11から「Deep Research」機能がアップデートされ、Gmailやドライブ(ドキュメント、スライド、スプレッドシート、PDF等)、Google Chatを情報ソースとして直接指定できるようになりました。今後は「Deep Research」も活用していくようになると思います!

2. 開発チェックリストの作成

開発者とのコミュニケーションを円滑に進めるため、Geminiで開発のチェックリストを作成しています。例えば、新規のスマホ対応機能についてエンジニアと話す前にGeminiへ依頼して「スマホ向けの開発で考慮が必要なこと」のチェック項目をリストアップしてもらったことがありました。これにより、自身の知識レベルを上げ、より質の高い議論の準備ができます。

▼具体例)「スマホ向け開発」での考慮ポイントのチェックリスト(経験者には当たり前のことかもしれませんが、”非機能要件”の洗い出し等、自分が経験したことがない分野についての開発前にはとても助かりました)

生成されたチェックリスト

3. 優先度判断のための議論深化

プロダクト開発における優先度判断は常に難しい課題です。そんなシーンではGeminiへのプロンプトを工夫し、議論を深めています。詳細なシナリオと登場人物の設定を与えて討論させることで、単なる質疑応答を超えた、思考のシミュレーションツールとして活用するイメージです!複数の選択肢やトレードオフについてGeminiの結論を参考にすることで、より客観的かつ多角的な視点から優先度を判断できるようになります。(あくまで最終的な判断をするのは自分です)

具体的には、議論を深める役割としてプロダクトマネジメントトライアングル的に3者(顧客・開発者・ビジネス)を設定し、それぞれの観点を用いて議論を展開するようにプロンプトを書き、話を深めてもらっています。(また、これはまだやったことはありませんが、役割に加えて「警戒派」「楽観派」「現実派」といったスタンスを与えることでも検討内容は深まるようです。)

▼具体例)訪問記録の開発ロードマップについて「思考モード」を使って3者の立場から議論を深めてもらいました

プロンプトの入力例

この時には、上のようにプロンプトを入力するとそれぞれの立場からの意見と議論が展開された後、以下のようにMSP*3の構成が提案されました。更に、これを元にしたユーザーストーリーやロードマップの提案も続けて行われました。

Geminiからの返答(一部抜粋)

意思決定からくる行動・アクションは「やる・やらない」の2択であるにも関わらず、プロセス(HOWや登り方)は基本的にはグラデーションになっているので、優先度判断には多角的に判断軸(私がしているように3者の観点を踏まえるなど)を持って思考することが求められます。上記の「討論させてみる」手法は、そのためのインプットとして使えると思います!

4. 議事録のポッドキャスト化と情報収集

情報量が多く、内容が複雑な会議の議事録は、後から読み返すのが大変ですよね。私はこの課題をNotebookLMで解決しています。

議事録を読み込ませて音声化するプロセス

NotebookLMの魅力は、読み込ませたドキュメントを基に、その内容を要約したり、質問に答えたり、そして「音声」として再生できる点です。

  1. 資料の用意とアップロード: 普段利用しているesaや議事録をPDFやGoogleドキュメントとして用意し、NotebookLMのソースとして読み込ませます。

  2. 音声生成と再生: 読み込み後、NotebookLMの機能(「音声解説」ボタン一つで実行)を使って、平文のドキュメントをポッドキャスト風の音声に変換します。

音声化のメリット:対話形式で情報がスッと入る

この機能のすごいところは、ただテキストを機械的に読み上げるだけでなく、対話形式やストーリー形式で音声を作成してくれる点です。

  • 通勤中の「ながら」学習:生成された音声をラジオのようにイヤホンで聞くことで、通勤中や家事の合間など、移動時間やスキマ時間を有効活用できます。
  • 理解度の向上:単調なテキストを読むよりも、対話形式の音声の方が頭に入ってきやすく、内容のキャッチアップ効率が格段に上がりました。

現在はmiroやesaの情報をPDF化してNotebookLMに読み込ませる工程に少し時間がかかるのが課題ですが、この「ながら学習」のメリットがそれを補って余りあると感じています。

5. Vercel v0によるUXの不確実性削減への挑戦

最近、Vercelのv0というAIコーディングツールの活用を始めました。

v0は、「シンプルなログインフォーム」「和風デザインのランディングページ」といった自然言語でのプロンプトを入力するだけで、WebページのUIデザインやコード(React/Next.js/Tailwind CSSベース)を自動で生成してくれるツールです。Webデザインやプログラミングの知識がなくても、数秒でデザインの叩き台やプロトタイプを作れるため、アイディアを素早く可視化できます。

PRDで言語化された要求定義だけでは、しばしばUX(ユーザー体験)の部分の不確実性が残りがちです。v0で簡単なプロトタイプやUIコンポーネントを素早く作成し、それをベースにチームと会話することで、開発に入る前の早い段階で認識のズレを解消し、不確実性を減らせると期待しています。まだ試行段階ですが、他チームのPOの間でも活用が広がっていて、私自身もその効果を楽しみにしています!

▼具体例)「スマホの訪問記録向け開発」で、画面左側にある吹き出しで「ここをこうして欲しい」のコメントをすると、右側にあるような画面が秒で出来上がります。

v0で生成されたプロトタイプの例

まとめ

プロダクトマネージャー業に携わる人がAIを業務に取り入れると、手軽に周辺領域の知識を習得できるようになったり、より質の良い意思決定ができるようになるため、数々の業務を効率的かつスムーズに進めていけるようになります。また更に一歩踏み込んで、v0のようなツールを通じてUXの早期検証を行えば、業務領域を広げる形でアウトプットの質を高めることも可能です!今回ご紹介した事例が、皆さんの日々の業務に少しでも役立てば幸いです。

皆さんはどのようなAI活用術をお持ちですか?ぜひ教えてください!

*1:プロダクトオーナー;プロダクトマネージャーの役割の一部として、プロダクトの価値を最大化する責任を負うポジションです

*2:チーム・組織内の情報共有のためのドキュメントサービスです

*3:Minimum Sellable Product;販売可能な価値を持つ最小限のプロダクトのこと