はじめに
初めまして、キャリア事業の人材紹介サービスでプロダクト開発をしている松尾です。
新卒6年目の2025年10月頃から、PdM(プロダクトマネージャー)としてのキャリアにチャレンジしています。
成果を出すどころか、思った以上にうまくいかないことの方が多く、四苦八苦している毎日です。
それでもこの経験を通して、
- PdMとして価値を届けるとはどういうことなのか
- チームの共通理解を作ることの重要性
- プロジェクトの方向性を示すことの難しさ
など、多くの学びを得ることができました。
この記事では、エンジニアがPdMにチャレンジする中で感じた 「プロダクトを通してユーザーに価値を届ける難しさ」 について、自分なりの学びを整理してみたいと思います。
PdMに挑戦することになったきっかけ
PdMに挑戦したいと思ったきっかけは、昨年度に参加した Web履歴書プロジェクトでした。
弊社人材紹介サービスは、キャリアパートナー(CP)が求職者との対話を通してより最適な事業所とのマッチングができるようにサポートしています。
それまで私が担当していたのは、求職者がサービスに登録するための入り口となる 集客チャネルとしてのWebアプリケーション でした。
求職者をCPに送客するのがメインの役割です。
一方、このプロジェクトで開発したのは、求職者がCPと接点を持ち、実際に転職活動を進めてから利用される 履歴書作成のWebアプリケーション です。
この2つの開発経験を通して、人材紹介サービスの見え方が少し変わりました。
それまでは
- 集客のためのプロダクト
- 履歴書作成のプロダクト
のように、それぞれを独立したプロダクトとして捉えていました。
しかし実際には、 集客 → 求職者と事業所のマッチング → 入職 → 入職後のフォロー までが一連の体験としてつながっています。
つまり、人材紹介サービス全体が1つのプロダクトであり、私たちが作っているWebアプリケーションはその中の一機能に過ぎない、という見え方に変わったのです。
この視点の変化が、PdMとしてプロダクト全体の価値を考えてみたいと思ったきっかけでした。
そうした中で、求職者体験の向上をテーマにした新規プロダクトを立ち上げる話をいただき、PdMとしてチャレンジさせてもらうことになりました。
エンジニアとPdM の視座の違い
PdMに挑戦して最初に気づいたのは、エンジニアとPdMでは価値を思考する上での視点が違うということでした。
PdMとしての最初の提案は、 「求職者の入力データを一元管理する仕組み」 でした。
この提案に対するPO(プロジェクトオーナー=このプロジェクトの最終責任者)やチームメンバーからのフィードバックはシンプルでした。
『点の話すぎて、結局何を実現したいのかわからない』
最初は何がダメなのかわかりませんでした。
上司やシニアPdMと会話する中で、自分の思考が Howに寄っている ことに気づきました。
エンジニアとしての仕事を振り返ると、
- その課題をどう解くか
- どう実装するか
というように、How(どう作るか) を考えることが価値でした。
一方でPdMの仕事は、
- ユーザーのどんな課題を解くのか
- その課題を解くために、何を作るのか
を定義し、プロダクトの価値を最大化することが求められます。
そのために、 Why(なぜそれを作るのか)とWhat(何を作るべきなのか) という問いを立て続けることが重要なのだと学びました。
目的やゴールの重要性
もう1つ強く感じたのが、目的やゴールを定義することの重要性です。
PdMとしての最初のミッションは、求職者体験の向上をテーマにした新規プロダクトの構想でした。
私たちが改善したい事業課題や、それを解消するためにどのような体験設計ができると良さそうか、こういった点の整理はある程度できました。
しかし、実際のユーザーの解像度が低かったため、ここまで整理してきた内容が本当に価値のあるものなのかがわかりませんでした。
そこで、私たちが価値提供したい層の求職者に対して実際に案内されているアンケートをweb化し、web上の動向やアンケートの回答結果などを踏まえて価値探索を行おうと考えました。
CP組織やマーケ組織と協力しながらwebアンケートを実装し、一部エリアでのトライアルも良好で正式リリースまで漕ぎ着けました。
しかし、この活動を振り返ると出発点に課題がありました。
- 具体的にどんな価値を検証したいのか
- この施策で何を明らかにしたいのか
- この取り組みは何をもって成功とするのか
といった、プロジェクトの目的やゴールを十分に整理しないまま動いてしまっていたのです。
その結果、新規プロダクトの構想とアンケートweb化の取り組みの関係が曖昧になり、最終的にプロジェクトの方向性を見失ってしまいました。
目的やゴールが明確でないプロジェクトでは、
- メンバーごとに解釈が変わる
- 優先順位がズレる
- 進めば進むほど方向性がブレる
といったことが起こります。
目的やゴールを定義することは、プロダクトを作っていく上で迷った時に立ち返れる拠り所となる場所を作ることなのだと学びました。
自分の意思を強く持つ
今回のチャレンジを通して一番強く感じたことは、PdMは言われたことを実行する役割ではないということです。
プロダクト開発では、
- 事業側の要望
- ユーザーの要望
- チームの要望
など、様々な意見が出てきます。
その中でPdMは、「このプロダクトではこの価値を実現する」 という方向性を示し、チームを導いてプロダクトを牽引していく必要があると考えています。
つまりPdMは、単に開発の管理をしたり各部署との調整役を担当するのではなく、自分の意思で人を動かし、プロダクトを作っていくファシリテーターとしての役割なのだと実感しました。
今回の私は、課題整理や各所との調整まではできても、「自分はこういう価値を実現したいんだ!」と強い意思を持って方向性を示すことができませんでした。
その結果チームが迷走し、結果的にプロジェクトの軸が定まらないまま進んでしまったのだと振り返っています。
おわりに
今回の経験を通して、エンジニアとして価値を作ることと、PdMとして価値を作ることの違いを強く感じました。
エンジニアとして価値を作るときは
How(どう作るか)
を考えることが中心になります。
一方でPdMとして価値を作るときは
Why(なぜ作るのか)
What(何を作るのか)
という問いを解き、チームを導いていく必要があります。
そこには、想像していた以上の難しさがありました。
まだまだ試行錯誤の途中ですが、この経験を糧に、 「プロダクトを通してユーザーにどんな価値を届けたいのか?」 を追求し、実際に価値を届けられるよう挑戦を続けていきたいと思います。
