はじめに
はじめまして!株式会社エス・エム・エスで介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」のQAを担当している柏尾です。 普段はQAチームで品質保証にかかわる業務を担当しています。
2025年5月ごろから品質保証の業務とは別で、カイポケ開発部内でのMonthly Win Sessionの運営をはじめました。 Win Sessionとは一般的に、メンバーそれぞれが「Win(成果や良かったこと)」を共有し、称賛し合う場です。 運営としての活動開始から約1年程度経過したので、今回はその経緯やどのような活動を実施しているかをご紹介します。
Monthly Win Sessionをはじめたきっかけ
エス・エム・エスでは、過去に開発部内横断での情報共有の場や広報誌という良い取り組みをシェアするような場がありました。 いずれも非常に長く続いてきた取り組みで、取り組みが設計された時よりも組織が非常に大きくなっており、職能の多様化も進んできました。 そのため、その意義や良い点は引き継ぎつつ、現在の組織に合わせた再設計を行い、エス・エム・エスのプロダクト開発部が大切にしているバリュー「あなたがコミュニティ」(詳しくはコチラ)をよりいっそう体現する新しい枠組みとして検討されていたのが「Win Session」という形でした。
Win Sessionのアイデアが持ち上がり、運営メンバーはマネージャー陣からの推薦で声をかけていただきました。 ただ、決して業務として強制されたわけではなく、「興味があるか」「やってみたいか」と丁寧に意思を確認してもらった上で、納得して運営チームへの参加を決めました。こうした個人の意志を尊重してくれるところは、今の組織のいいところだなと感じています。
集まったのは、開発エンジニア、デザイナー、プロダクトオーナー、そしてQAである私の6名です。所属チームもバラバラで、初対面のメンバーも多い中でのスタートでした。
Win Sessionをやろうという方向でスタートしたものの、場の設計などは全て運営チームの裁量に任されています。「やり方は自由に検討していい、予算が必要なら相談もOK」という、かなり自由度の高い状態です。 まずは「自分たちがどうしたいか」を考えるところから、運営チームの活動がはじまりました。
運営チームの熱い想い
運営チームは普段はあまり接点の無い人が多く、お互いの考え方や仕事のスタイルなど、何も知らない人もいる状態でした。 そのため、まずは全員がWin Sessionに期待することや想いを出し合い、考えのすり合わせを行いました。対話を重ねる中で、各メンバーが組織の課題解決に対して、高い当事者意識を持っていることがわかり、このチームで活動していくことへの期待感が高まりました。
この段階では、早くWin Sessionの開催までもっていったほうが良いのではないかと、焦りを感じることもありました。振り返ってみるとしっかり想いを出し合って、丁寧に目的意識をすり合わせたことはとても重要な時間だったと感じます。 1年近く運営してきて会の改善に取り組んでいる中で、意見が食い違うこともありました。しかし最初に方向性をしっかりすり合わせているため軸がぶれず、最終的にはみんなで納得しながら判断できていると感じます。
現在はWin Sessionを「お互いの理解を深め称賛し合うことで、開発部全体のパフォーマンスを高める交流の場」ととらえ、毎回の会を運営しています。 また、目指したい姿として、「取り組みと称賛のループ」「壁を薄く、重力を軽く」という2つを挙げて取り組んでおります。
称賛の場からさらに良い取り組みを呼び、称賛を受ける、そんなループを作りたいと思っています。 また、カイポケ開発部はいくつものチームに分かれ、更にいくつもの職種の人が存在しています。チームの壁、職種の壁を薄くし、お互いの交流を促すきっかけの場にしていきたいという思いがあります。
運営の進め方
運営の進め方として、現在は週1回の定例MTGを実施しています。それ以外の日は資料作成などタスクを持ち帰って進めることもあります。 メンバーの所属チーム・職種がバラバラである分、繁忙期のタイミングも異なるため、各自の業務状況を見ながら可能な人が積極的にタスクを引き受け、分担することができています。 定例MTG自体も業務状況を見て欠席してもよいというスタイルです。
メインの業務の傍らで継続的に運営するために、運営の負荷を減らすことも重要なテーマだととらえており、定例MTG自体の時間を短くできないか試行錯誤したり、テンプレ化できるものはテンプレ化するといった改善も重ねています。
Win Sessionの実際の会では、参加者からのアンケートも回収しており、そのフィードバックや会の盛り上がりをみながらより良い会にすべく模索を続けています。 例えば、Win Sessionをはじめた最初のころは、より多くの発表を聞きたいため、発表時間は5分縛りにする案が上がっていました。しかし実際にWin Sessionをやってみると、質問が盛り上がることもあり、時間を短く縛りすぎるのはかえって会を盛り下げることになるかもしれないという懸念が運営チーム内で生まれました。 そういった状況を鑑みて、現在は月に1時間の会の中で発表本数は2本のみに制限しています。発表自体は1本あたり最大20分程度で残りの時間を質疑応答や深掘りの会話の時間にあてています。
Monthly Win Sessionの発表例
現在はMonthly Win Sessionとしておよそ月に1回の頻度でオンラインで開催しております。参加者は毎回80人を超える会となっています。 様々なチーム・職種の方に登壇いただき、他の組織の活動を知るきっかけにもなることができています。
オンライン開催のため、感想や質問はSlackの実況チャンネルを用意していますが、毎回たくさんの感想や称賛のコメントで盛り上がっています。
単に「すごいね」で終わるだけではなく、発表内容を他のチームで取り入れるなど、業務に役立った事例も多数あります。以下では実際の事例をいくつかご紹介します。
「スクラムチームでモブテストをやってみた」
こちらは記念すべき第1回の1発目の発表です。開発エンジニア、デザイナー、QAで集まってモブプログラミングのようなイメージでテストを実施した事例を実例とともに発表いただきました。 発表直後にはもう以下のようなSlackが流れ、他のチームに良い影響が広がっており、運営チームとしてもとてもうれしかったことを覚えています。
「生成AIを活用したデザイナー協業ワークフローの再構築」
AIを活用してデザイナーがVibe Codingでデザインを組むために、非エンジニアがAI活用するための環境整備を行った取り組みを発表いただきました。 AI活用は弊社内でもトレンドとなっており、他のチームでも同じような取り組みをしようとしていたと声が上がっていました。 とてもホットなトピックで、実況チャンネルがとても盛り上がっていました!
「非エンジニアがAIを使って開発環境で開発した話」
2例目にあげた「生成AIを活用したデザイナー協業ワークフローの再構築」のセッションをきっかけに実施された取り組みについて発表いただきました。 2例目の発表からわずか3か月後に発表までしていただいており、素晴らしい取り組みにとても驚きました。 私たちが目指している「取り組みと称賛のループ」に一歩近づいたことを実感できる事例でした。
課題とこれから目指したいこと
Win Sessionは毎回アンケートでも好評をいただいており、良い影響も生み出せていますが、まだまだ課題はたくさんあります。
最も大きな課題はやはり「発表者集めの難しさ」です。 会をはじめてから1年間で、発表の立候補もいただきましたが数自体は少なく、立候補のみで継続して運営することはできていません。 そのため、現在はSlackを活用した他薦・自薦のネタ集めを中心に行っています。 Slackのリアク字チャンネラー機能を使っており、Winだ!と思ったSlack投稿にWin Sessionスタンプを押すとWin Session用のSlackチャンネルへコピーされるようにしています。
コピーされてきたものの中から、より関心がある人が多そうなネタを選んで運営チームから関係者に発表いただけないか声掛けを行っている現状です。 ありがたいことに発表の声掛けをして断られた事例は無く(時期が合わないため先の発表にしてほしいなどはもちろんありますが)、みなさん好意的に引き受けてくださり、運営としての心理的な負担もなく、継続していくことができています。
現在の状況でもそれほど負荷なく運営できている事実はありますが、運営から声掛けをして登壇者を募るフェーズは、あくまで自走に向けた準備期間だととらえています。
誰かに頼まれたから話すのではなく、日常の小さなWinを自然に発信したくなるような、そんな空気が醸成されて初めて、Win Sessionは組織の文化として根付いたと言えると思っています。よりカジュアルに、より気軽に参加できる場を目指して、これからも改善を重ねていく予定です。
運営チームに参加してみて
ここまで運営の仕組みや課題についてお話してきましたが、最後に運営メンバーとして活動してきた感想にも触れさせてください。
運営を通して何より刺激を受けたのは、全員が常に目的意識をもって意思決定を進めている点です。ただ漫然とWin Sessionの会を開催するだけでなく、常に目的を達成するための会にできているか思考しながら運営を進めています。 私たちが日々取り組んでいるカイポケのシステム開発も同じで、業界の課題をどう解決するか、常に考えながら向き合うことが求められており、その姿勢がメンバーの習慣となっているように感じました。 本業の枠を超えた活動を通じて、「常に目的意識をもって課題解決をする」大切さを再確認できたことが私にとって大きな収穫でした。
また、チームや職能が異なる人と働く面白さも感じました。 弊社では日ごろの業務の進め方はチームの裁量に任せられているため、チームごとの特色があります。今回他のチームの方と長期間働いてみて、そのごく一端ですが知ることができました。 わかりやすい例だと、Miroの使い方ひとつとってもチームごとに特色があり、良いなと思った活用方法はチームに持ち帰って役立てています。
役割の面では、個人的にはデザイナーさんの考え方に触れることができたことが学びにつながりました。現在私が所属しているチームではすでに稼働中のシステムを担当していることもあり、デザイナーさんとお仕事する機会はほぼありませんでした。 今回デザイナーさんと何度も会話する中で、ユーザー目線、受け取り手目線の考え方がとても勉強になり、QAとしてプロダクト品質に向き合う中でも持つべき視点を学ぶことができました。運営チーム内の他のメンバーからも「Win Sessionでぜひデザイナーさんの話を聞いてみたい」という声が何度もあがっていました。
チーム、役割の異なる人と働くメリットを知ることができたので、こういった機会は今後も大切にしていきたいと感じました。
おわりに
私個人としてはこういった大きなイベント運営にかかわったことはほとんどなく、運営に参加することは大きなチャレンジでしたが、今では一歩踏み出して良かったと思っています。 自由に試行錯誤させてくれる社風や、意見を前向きに受け入れてくれるメンバーのリアクションに助けられて、楽しく活動を継続することができています。
この記事を通じて、Monthly Win Sessionの空気感や、エス・エム・エスの空気感が少しでも伝わればうれしいです。
