QAエンジニアがAI活用事例を「全力でパクる」ための会をはじめました

はじめに

介護/障害福祉事業者向け経営支援サービス「カイポケ」でQAを担当している中村です。現在は複数のQAチームに横断的に関わりつつ、チームのサポートや改善活動の推進、組織マネジメントなど幅広い業務を担当しています。

今回は、2026年の春先に立ち上げたQAチームの社内勉強会「AI4QA事例共有会」についてご紹介します。

なぜはじめたのか

エス・エム・エスでは全社員が生成AIを利用できる環境が整っており、QAエンジニアもテスト活動や業務効率化へ積極的に取り入れていますが、その使いこなし方はチームや個人に依存しているのが実情でした。

カイポケのQAはフルリモート体制で、普段異なるサービスを担当するチームがそれぞれ独立して動いています。生成AIを駆使しているメンバーがいる一方で、「隣のチームがどんな使い方をしているか」は互いに見えにくい状態でした。チームをまたいでナレッジが共有される仕組みもなかったため、「知っていたら自分も使えたのに」という機会損失が、静かに積み重なっている感覚がありました。

AI活用を組織全体に広げていくために必要なのは、ツールの導入や制度整備だけではなく、「こういう使い方があるんだ」と気づける場だと考えました。そこで、実践的な使い方を横展開しあえる場を作ろうと、今回の「AI4QA事例共有会」を立ち上げました。

会のコンセプト

一言で言うと、「AI活用術を全力でパクるための会」 です。

※ここでの「パクる」は、他チームの優れた取り組みを積極的に吸収・横展開するというポジティブな意味合いを込めた言葉として使用しています。

あえて「パクる」という強い言葉を使っているのには理由があります。「参考にする」ではどこか他人事のようですし、「真似する」だと少し受け身な印象を受けます。しかし「全力でパクる」という温度感こそが、この会のスタンスを的確に表しています。

発表者も「参加者に全力でパクってもらうこと」を前提に登壇してくれるため、自然と再現性の高い具体的なツールやプロンプトの紹介が飛び交う場になっています。

難しい理論や綺麗にまとまった導入事例ではなく、「自分の業務で今こう使っている」というリアルな生の話を共有し、参加者が明日から使えるヒントを持ち帰ることをゴールにしています。

会は基本的に発表者+聴講というスタイルですが、決して一方通行の講義にならないよう、いくつかの工夫を取り入れています。

運営の工夫:Miroで双方向に

発表を聞くだけの場にしたくなかったので、Miroのボードを使って双方向性を持たせています。

  • 🟨 黄色の付箋:感想(すごい!便利!など)
  • 🟦 青色の付箋:質問(これってどうやってるの?)
  • ⬜ グレーの付箋:コメント・気づき

聴講者は発表を聞きながら随時付箋を貼り、質疑タイムではそこから優先的にトピックを拾っていきます。

オンラインの挙手制だと発言のハードルが上がりがちですが、付箋なら「思ったこと」をその場で気軽に書き留められます。そのため、場が温まる前から参加者の反応がどんどん可視化され、盛り上がりを生み出しています。時間切れで拾えなかったものも文字として残るため、後から非同期で確認できる点にも役立っています。

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これまでの発表テーマ

実際にどのような話が共有されているのか、発表テーマを一部ご紹介します。

テーマ 概要
生成AIを活用してバグ対応を効率化してみた Slackのバグ報告スレッドを自動でJiraチケット化するツールを作成。試行錯誤の末、うまくいったこと・いかなかったことを正直に共有
シナリオベースのAPIテストをClaude Skillsで実装 テストシナリオの記述・実行をAIで効率化しようとしている取り組みの紹介
Devinを使ったQA業務の効率化 AIコーディングエージェント「Devin」を日常的なQA業務に活用している事例集
QAプロセスにおけるAI活用 実務でのAI利用の具体的な場面と活用方法を紹介
Claude Code Desktopの使用感紹介 実際に使ってみてのリアルな感想と、QA業務での活用可能性を共有

参加者の反応から見えてきたこと

付箋に書かれたコメントを読んでいると、場の雰囲気がよく伝わってきます。

失敗談が歓迎される

「生成AIを活用してバグ対応を効率化してみた」で発表されたSlack→Jira自動起票ツールは、「開発した後にSlack側がAI要約機能をリリースしてしまい、結局あまり使われなくなった」という結末も正直に共有されました。これに対して寄せられた付箋が「実際使ってみての『うまく使えなさそう』って感想、たすかる」という声です。

成功事例だけでなく、試行錯誤や失敗の過程もオープンに話せる雰囲気ができているのは大きな収穫でした。「うまくいかなかった」と言える場であることが聴講者の安心感を生み、実はそういう泥臭い話のほうがリアルで参考になることが多いと実感しています。

「さっさと使わないと」という温度感

「AIの発展で使わなくなるのはよくあるので、さっさと使わないとなと思った」というコメントには「それな」という付箋がすかさず貼られていました。ツールの移り変わりの速さへの共感が、参加者の間で自然と生まれていました。

完璧な使い方を探してから動き出すより、とりあえず試してみてフィードバックを得る、そういうサイクルを回すことへの意識が参加者の間で少しずつ浸透してきている気がします。

「自分もやってみたい」につながる

「自前ツール、ClaudeCode使えばQAでも作れるかな。積極チャレンジしたい!」といったコメントも見られました。発表を聞いて終わりではなく、「自分でも試してみよう」という気持ちに自然とつながっているのは、この会の目的にぴったりな反応でした。

さいごに

この会を「ずっと続けること」自体は目的にしていません。目指しているのは、AIを活用するという文化の醸成です。発表された内容をきっかけに、各自が自分のチームで掘り下げ、実際の業務へ還元していける、そういうポジティブな循環が生まれることが本当のゴールだと考えています。

私たちのQA組織における生成AIの活用は、まだ始まったばかりです。こうした「QA組織への生成AIの適用」や「新しいテスト文化の醸成」に興味を持ってくださった方、一緒にこれからのQAのあり方を模索していきたいという方がいれば、ぜひカジュアル面談でお話ししましょう!