ビジネスアーキテクト × Salesforce:改善だけで終わらない、戦略推進と戦術実行を追求する

初めまして。 エス・エム・エスのBPR推進部EA推進グループの西田です。私の簡単な自己紹介からさせていただきます。大学卒業後、2017年4月に人材紹介会社に入社し、求職者集客のマーケティング業務を行いました。その後、2018年3月にエス・エム・エスにカイポケのインサイドセールスとしてジョインし、インサイドセールスの小チームリーダー、営業組織全体の営業企画、マーケティングと経験を積みました。2023年4月からBusinessArchitect(以降 BA)としてカイポケ全体の既存事業の高度化/社内業務の高度化・効率化を担当しています。

BAになったキッカケ

カイポケでは、入社時点から業務基盤としてSalesforceをメインに利用していましたが、 日々の行動指標やKPI管理ではまだまだスプレッドシートが使われていました。 そんな時Salesforceのセミナーに参加し、システムとしてのパワーを体感した私はその後もインプットを深める中で、レポート/ダッシュボードだけではないSalesforceの機能を知り「うちでやっている〇〇は、Salesforceの△△を活用したら解消できるかもしれない」というアイディアが浮かぶようになり始めました。 その当時、部内のこういった課題を取りまとめて、エンジニア(当時は業務委託のみ)と会話をする、という役割を持った人がおらず、改善アイディアに対する合意形成も上手くできませんでした。

BA不在当時のやり取り

事業サイド:商談オブジェクトに〇〇という項目を追加してほしいです。項目を1つ追加するだけだから短納期でお願いしたいと考えています。

エンジニアサイド:その項目を追加するには△△について調査する必要があり時間がかかりそうです。また、既に似たような項目がありますがコチラを使って対応できたりしないのでしょうか?そもそもSalesforceの商談には~という機能があって、、、

事業サイド:こちら側の意図した通りに実装してほしいので進めてもらえますか?

というような具合で、事業サイドとしてはSalesforceやシステムについて、エンジニアとしては事業サイドのビジネスニーズ/背景について、まだ理解を深める余地がある状態でした。 「自分がここの間のかけはしになったら良いのでは?」と思うようになりました。 Salesforceの入門資格であるアドミニストレーターを取得した上で、当時の上司に「ココの役割が足りず、必要な改修を進めることができていないので担当させてほしい」とお願いし、ココの役割を営業担当と兼務でやり始めました。これがBAとしての第一歩になって現在の役割を担当しています。

そもそもBAとは?

BAはBusinessArchitect(ビジネスアーキテクト)の略称です。一般的にはBusinessAnalyst(ビジネスアナリスト)と呼ばれたりしています。iiBAという組織の定義によると「ビジネスアナリシスとは、ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能にする専門活動」とされています。
プロダクト開発の文脈でもBusinessAnalystという役割の人がおります。当社の棲み分けとしては、顧客の業務改善⇒プロダクト開発部、社内の業務改善⇒BPR推進部、というような具合です。
最近では、DXの取り組みが注目されている背景からIPAがBusinessArchitectという役割について明文化してくれており「DXの取組み(新規事業開発/既存事業の高度化/社内業務の高度化・効率化)において、ビジネスや業務の変革を通じて実現したいこと(=目的)を設定した上で、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する人材」というようなまとめ方もされています。

「DX推進スキル標準」人材類型の定義
引用元) 「DX推進スキル標準」人材類型の定義

エス・エム・エスでのBAの役割

私達の部署においては「戦略推進/支援の中で、価値提供先の要望の深堀りやソリューションの提案を行うことはもちろん、業務担当者や他部門の関係者など、多くのステークホルダーを巻き込みながらその中心となり、推進の主体となる役割を担う者」としております。
基本的には、社内業務の高度化・効率化についての課題に対応しておりますが、最近は既存事業の高度化にもチャレンジしております。 社内業務の効率化というとバックオフィス系の効率化というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、私のところでは主にフロントオフィス(マーケティング/セールス/カスタマーサクセス/サポートetc)の課題について取り組んでおります。バックオフィス(契約管理、販売管理etc)の課題との比率的には6:4ぐらいになります。 事業の戦略や重点Issueを踏まえた上で自分のリソースをどのように配分するかを判断して動いているようなイメージです。

BAの2つの視点から思うエス・エム・エスで働く魅力と楽しさ

私自身、今の環境が非常に面白いなあと感じています。 「Salesforceの活用の仕方」と「価値提供先との距離」の2つの視点からお伝えしたいです。

Salesforceの活用の仕方について

製品としてはAccountEngagement(旧:Pardot)、SalesCloud、ServiceCloudを利用しており、一部Salesforce外で開発したシステムもありますが、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、サポート、契約管理、販売管理などの業務プロセスのほとんどをSalesforce上でカバーしています。
これは私のポリシーなのかもしれないですが、何かSalesforce改修を行う際は、できるだけ標準オブジェクトや標準項目、標準機能を使ってビジネスニーズを満たせないか?という観点でソリューションを検討するようにしています。私自身、Salesforce好き、ということもあるかもしれませんが、標準周りの機能を使っておけばメジャーリリース等で機能追加されるかもしれない、標準オブジェクト/標準機能に関連した強化が行われるかもしれない、と期待していますし、何より実装/保守/メンテコストが安くなります。
念を押してお伝えしたいのですが、ApexやVisualforce、LWC(LightningWebComponent)などのカスタム開発を全く行わないわけではありません。価値を実現し、ビジネスニーズを満たし続けるために最適なQCD(Quality/Cost/Delivery)を常に考慮に入れてどのように作るかを判断するようにしています。ビジネスの動きも常に変わっていくことも考慮し、作り込みすぎずに標準機能を踏まえながら小さく作って検証を回すような動きになることが多いです。

価値提供先と距離が近い

今の立場で非常にありがたいと感じていることは、「価値提供先と一緒に問題抽出や課題設定を行うことができる」ことです。 中長期でどのようなことを実現したいか?をきちんと理解し、あるべき姿と実現したい世界観を事業側とすり合わせるようにしています。
意識としては、事業側で時間/労力をかけて作った戦略を念頭に置き、その戦略を推進するための戦術実行を支える、という具合です。また、戦術を着実に実行するために、BAの立場からシステム外のオペレーションについても問題整理/課題設定、提案を行う場面もあります。 そのため、細かい保守/エンハンス案件、一定規模以上のプロジェクトなど規模の大小にかかわらず、事業としてどんな姿になっていきたいか?今注力すべきIssueは何か?を念頭に優先順位を決めるようにしています。
価値提供先との距離が近いので、取り組みによるアウトカムが見えやすく、フィードバックループを着実かつ素早く回すことができます。そのため、価値提供先への貢献実感を持って業務に取り組むことができていると感じています。 また、事業側とも距離が非常に近いので、問題抽出、課題設定段階では、なるべく一次情報に触れてインプットを行うようにしています。 業務を遂行するのはあくまで現場メンバーであることを意識し、実際にDoする人が納得感を持てるように設計や運用の落とし込みをする必要があるためです。
例としては「管理者やマネージャーから聞くのと合わせて、現場メンバーが業務しているところを見る」「実際のデータを見たり、分析する」ようなことをしており、時には事業側と一緒に「法令文書を調べる」などもしております。 実体を繋ぎ合わせる作業を事業担当者と一緒に行うことで現状認識が統一され、今まで顕在化してはいなかったけど実は原因ってココだよね、と言った整理もできるようになります。 ワークとしては、EventStormingを行うことが多いです。

終わりに

私たちの部署ではBusinessArchitectやSalesforce エンジニアがとても不足しています。業務に近いところで戦略推進/戦術支援をしたい、Salesforceの機能をフル活用できるようにスキルアップしていきたいという方にはとてもおススメです。ご興味ありましたらお声掛けいただけますと嬉しいです。