技術推進グループ長に聞いてみた・後編 「手に負えない」からこそ「楽しそう」、エンジニアとしてのこれまでのキャリア

エス・エム・エス テックブログ運営の小林と樽本です。今回の記事は技術推進グループ長に聞いてみた・前編 「全社横断の技術アドバイザー」の後編となります。


光宗朋宏 Tomohiro Mitsumune
-技術推進グループ グループ長
Ex. DeNA


面接においてどういうことを意識されているのでしょうか?

四つ目の質問です。光宗さんはエンジニアの方の技術面接を担当されることが多いと思いますが、面接の際にどんなことを意識しているのか教えてください。 自分も面接時に、光宗さんに技術面接を担当いただいたのですが、今までの仕事について突っ込んで聞かれた覚えがあります...(笑)。

もちろん先方の経歴は事前に拝見しているのですが、「話を組み立てる能力」は特に重視しており、そこをチェックできるような面接を心がけています。 具体的には、ご自身の経歴を自由作文形式で喋っていただくようにしています。 僕がいっぱい喋ってしまうとなんだか誘導尋問のようになってしまうので、例えば「今までキャリアの中で一番大変だった仕事はなんですか?」と投げかけてみて、聞かれたことに対してどうやって話を組み立てていくのかな?という点を見ています。

エンジニアって「難しい課題に対してロジックを組んで解決するスキル」と同じくらい「組み立てたロジックを他人に説明するスキル」が大事だと僕は思っています。 なので、自分は面接中になるべく喋らないことを目標にしたりして、その辺りのスキルを見るようにしていますね。

となると、光宗さんが面接でいっぱい喋ってしまう時は候補者さんがうまく話を組み立てられなかったりで、お見送りとなってしまうパターンが多いのでしょうか?

エンジニア3〜4年目のいわゆるポテンシャル枠の方に対しては、話している中でヒントを出したりすることもありますが、エンジニア15年目のベテランの方にはそれ相応の期待値があるので、そういったヒントを出すことはあまりしないですね。なので、僕がいっぱい喋ったことがお見送りの基準になるかどうかは、先方に対する期待値によって変わってきますね。

なるほど、こちらの問いかけに対するアウトプットの質でレベル感だったりを測っているのですね。

はい。これまでの面接官の経験として、一時間という時間の中で相手のことをより深く知るには「相手に多く喋ってもらう」方針は間違っていないと思っています。

面接時に意識していることとしては、「相手に多く喋ってもらうこと」ということになるんですね。

エンジニアとしてステップアップしてきた方法は?

最後の質問です。ベタですが、今までエンジニアとして働かれてきた中で、どうやって様々な壁や修羅場を乗り越えてステップアップしてきたのかというところをお聞きしたいです。

どうやってステップアップして来たかと言われると、自分で狙ってキャリアを築いてきたわけではないので偶然なところがあります。 過去に3回転職してきた中では、結局今まで自分がやってきたことの延長戦だと面白くないので「自分の手に負えないことをやりたい」とか、「明らかにレベルの高そうなところに行きたい」「ハードルがあるところに行きたい」などのマインドを持つようにしていました。そうすると壁というかチャレンジみたいなことが自然といっぱい出てくるので、それをその時々で乗り越えられるように努力してきましたね。

転職歴的なところでいうと、一社目がメーカー系で二社目が大手toCのWeb企業でした。その時の社内の風潮として、新規事業を立てたり別の会社を子会社化したりするものがありまして、その流れで新規事業として立ち上げるWebサイトの開発を希望して入ったんですね。 チームにはエンジニアが僕一人、デザイナーが一人、そしてPMとして起案者が一人いまして、起案者のやりたいこと、実現したいことをヒアリングした上で当時の競合サービスを片っ端から調べました。 人気だった他社サービスのデザインをベースにしようということになり、デザイン面はデザイナーと協力して考え、それ以外のサービスの立ち上げからは僕一人でやっていました。サーバーの知識は大学〜大学院時代に研究室のLinuxサーバーの管理者を好きでやっていたり、当時は自宅サーバーが流行っていた時代でその流行に乗っかっていたりしたので、わりかしそこら辺は得意だったので進められました。 その時エンジニア1人でやり遂げられたのは、自分が持っていた趣味嗜好と仕事がたまたまフィットしてうまくいっただけなので、狙ってやったかと言われると全く狙っていなかったです。 「手に負えないことをやりたい」と思って進んでみたら、良い方に進んだようです。なのでステップアップというか、自分を成長させるためにあえて「手に負えない」現場や環境に飛び込んできたと思います。

かなりストイックですね...。自分のできること/できないことの線引きをした上で、できないことをできるようになりたいという姿勢ですよね。

できるようになりたい、はちょっとかっこよく言い過ぎですね(笑)。 単に飽き性なんだと思います。同じことをやり続けると飽きるだけです。

大体何年くらいで飽きが来るのですか?

大体3-5年ですね。一般的なエンジニアの転職サイクルと一緒です。

なるほど...(笑)。 新規事業立ち上げのWebサイト開発を希望し入社され、そこからどのようなキャリアを進んで行ったのでしょうか?

新規事業のサービスは無事にローンチされて、社内の評判もよかったです。社内的な知名度と評価はこれがきっかけで生まれたんじゃないかなと思います。 ローンチ後の二年半くらいはそのサービスの開発と運用を諸々、サーバー監視以外は基本一人でやっていました。 その二年くらいの実績を評価してくれる人から、子会社の開発部長やらない?みたいな話をいただいて、二年以上やっていて流石にやることがなくなってきていたので、引き継ぎ資料を作って子会社に開発部長として移籍しました。

その時が初めてのマネージャー職だったのでしょうか?

そうですね、初めてです。

なるほど。初めてマネージャーをご経験される中で、多くのエンジニアが悩みがちな満足のいくエンジニアリングとマネジメントの両立はできていたのでしょうか?

できていたと思います。一応部長として、営業だったりデザインだったりの他部署の偉い人が集まる会議に出ていたんですが、そこで僕が喋ることは「こういうことやりたいです」でした。 結局マネジメント役でそういう場所に出ると、ある程度の裁量があるのでやりたいことを自分で決められるんですね。もちろんやりたくないこともあるんですが。 自分のやりたいことができるような流れを作っていたので、満足にエンジニアリングができていました。 ただ、忙しいっちゃ忙しかったですね...。

確かにお話を聞いているとエンジニアの数が足りていなさそうな感じはしていました。

マネジメントするエンジニアの数は4-5人と多くなかったので、マネジメントで忙しい訳ではなかったです。

タイミングとか巡り合わせもあると思うのですが、元々マネジメント志向はあったのでしょうか?

1ミリもなかったです。 ただ、その会社で働いていくうちに「この会社ではマネジメントスキルがないと、給料も上がらないしやりたいことができないな」ということはわかってきていたので、マネジメントをやりたいかやりたくないかは置いておいて、やった方が得になるなと考えました。

長い目で見ても、コードも書けてマネジメントもできる方が人として強いんじゃないかと考えてました。実際楽しくないしあまりやりたくはなかったですが、やっておいた方がいいと思ってやってましたね。

なるほど...。お話を聞く限りエンジニアリングとマネジメントの両立もできていたように思えるのですが、そのままそのマネージャ職を続けるという選択はしなかったんですか?

その会社に5年いたんですけど、開発部長としてマネジメントをやるのに飽きたので転職したのが前職の大手ソーシャルゲーム企業なんです。 飽きるっていうと言葉が悪いですが、向こう3、5年同じ環境に居続けた場合と、違う環境に移動した場合で伸び幅がどれだけ違うかとか、モチベーションを保てるのか、とかが大きな理由ですね。

あとは当時の大手ソーシャルゲーム企業は、どこも有名他社と採用合戦をやり合ってて、できるエンジニアはそこら辺のどこかに行くみたいなのが風潮としてあったんですよ。なので、できるエンジニアに囲まれることで自分のレベルがどのくらいなのか客観的にわかるかな、と期待していたのも大きいですね。

やっぱりお話を聞いているとストイックなところが垣間見えるのですが、そんなことないんですかね...。

うーん、自分の実力って他人に評価してもらわないとわからない部分もあるじゃないですか。そして、同じ環境に居続けると、「どう立ち振る舞えば高い評価を得られるのか」がわかってきてしまいますし、それは評価を受ける上でフェアじゃないと思っています。それがストイックなのかはわかりません(笑)。 感覚的には、お金を稼いでる会社がネームバリューある人をいっぱい採用する環境ってメジャーリーグっぽくて、そういう憧れみたいなのもありました。

大手ソーシャルゲーム企業の時に田辺さんと一緒にお仕事されてたんでしたっけ?

そうです。3年半ぐらいいて、最初の一年ぐらい田辺さんと同じチームで働いてて、仕事内容としてはエス・エム・エスにおける技術推進グループみたいなところで、僕と田辺さんは横串で開発効率改善のようなことをしていました。

前職から既に横断的にご活躍されてきたんですね。エス・エム・エスに入ってこられたのは田辺さんがエス・エム・エスに入られてからなんですか?

田辺さんがエス・エム・エスに転職してから、1年半後ぐらいに入社してます。ずっと誘われてはいましたが、少し時間が空いてますね。その時は、エス・エム・エスも一つの選択肢として考えていて、他にもいろんな会社の話を聞きつつ転職活動をしていて、最終的にエス・エム・エスに決めました。

その時はエス・エム・エス一本ではなくて、別の会社の話も聞いていたんですね。

ですね、いろんな会社の話を聞いてました。

そろそろお時間になりました。本日はありがとうございました。インタビューという名目でしたが、色々とスケールの大きい話が聞けて為になる時間を過ごさせてもらいました!

キャリアの話は意図してこのキャリアに進んだわけではないので、あんまり参考にならないかもしれません。ただ、迷ったら面白そうな道を選んできたのでそれが吉と出ているかも。選択をミスっても死なないですし、売り手市場なのでなんとでもなるでしょう、という気持ちでキャリアを選択してみて良いと思います。

(完)

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