EMの視点から見るリーダーシップの本質

エス・エム・エスでEM兼採用担当をしている emfurupon777 です。

2022年1月に入社して1年が経過し、採用を軸にして職務にあたる時間もかなり多くなっていますが、私よりエス・エム・エス歴の長い仲間たちに加え、多くの新しい仲間のJOINにより、楽しみな2年目を過ごしています。

今回は、一人のEMとして、”リーダーシップ”についての見解を書いてみたいと思います。 会社のテックブログの場を借りていますが、私個人の主観も大きく影響しており、必ずしもエス・エム・エスで語られることと表現や詳細が一致しているとは限らないのでご容赦ください。

我々が相対しているもの

VUCA(Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性))なんて言葉を使うような世の中ですが、我々が日々挑んでいるプロダクト開発は、そもそも不確実性が高いことを前提にしておく必要があります。相対する課題も、技術的課題・適応課題どちらも山積ですよ・・・というのがほとんどの会社で感じられているのが正直なところではないでしょうか。

そんな中、さまざまなバックグラウンドを持った仲間と仕事を進めるにあたって、EMとしてはよく意識して行動しているものの、意外とリーダーシップについて話すことってないなー、と感じている今日この頃で、今回筆を取りました。

リーダーシップとはなんなのか?

私は、リーダーシップを

  • WHY: 設定された成果のために
  • WHEN: 決定に十分な情報が完全には揃っていないとき
  • HOW: 高い視座・複眼で考え、できる前提の短いポジティブな表現を使って(Can do attitude)
  • WHERE: 周囲を巻き込んだ場所で
  • WHAT: 設定した良いイシューを
  • WHO: 解決しようという意志を持っている人が

行動すること、と定義しています。

これだけでは伝わらない面が大きいかと思いますので、それぞれについてもう少し言及してみようと思います。

WHY: なぜリーダーシップを発揮する必要があるのか

組織が存在するからには何かしらの成果期待があり、経営者・従業員である以上、我々は所属している組織の成果を最大化する責務があるからです。 より高い成果を目的とするからこそリーダーシップは必要となってくるものと考えます。

逆に言えば、成果に繋げようという行動でなければ単なる干渉・おせっかいになっている可能性が高く、実際後で振り返ると自分の理解が足りていなかった、感情的な対立があった、などの背景があり、その回避行動のあらわれだった・・というケースがままあります。

WHEN: いつリーダーシップを発揮するのか

不確実性が高い時、まだ重要な「根拠となるファクトが揃っていない時」にこそリーダーシップは必要です。条件が出揃っていて、みんなが同じ結論を導けるならばそれは単なる”判断”で、意思決定ではありません。

不確実性が高い中で行うからこそ価値があるのが意思決定で、その意思決定に達するために必要なのがリーダーシップです。

多くのケースで意思決定の後に新たなファクトが出てきているため、後になって振り返りをしてみれば、「より良い決定ができたのではないか・・・?」と言う思いが湧いてくるのは多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。この思いを抱けるのであればなんらかの意思決定をしていたと言えると思います。

HOW: どのように発揮するのか

リーダシップの発揮時には自分が普段見ているところよりも、1段・2段高い視座に立ち、取りうる手段を考えることが重要です。

例えば、部・課・チームのような組織階層があるとき、チームの課題を解決するためには課長・部長と目線を上げていくことによって、ヒト/モノ/カネなど扱えるリソースが大きくなることによって強制的に思考のリフレーミングを起こせるなどの効果があります。 (これは一例なので、必ずしも組織構造ではなく、ロールなどで考えてももちろん良いと思います)

また、視座を高くするだけでなく複眼(複数の視点)で観察することも重要です。1視点では対象を立体で把握することができません。 複数の視点から観察することで対象を立体的にとらえることができ、より的確にファクトを捉えることができるはずです。

そして、最後の「Can do attitude」は私が以前一緒に仕事をしていた尊敬するCTOに重ねて伝えられた言葉で、これはリーダーシップを発揮するときには非常に重要だと思っています。どんなに難しいイシューでもできる(Can do)ことを前提に議論をする、それでこそ実現にあたって超えるべきギャップを測ることができます。 (私は当時この振る舞いができておらず、「先にできない理由を並べてチャレンジしない状況では、成果はついてこないし、そもそも誰も相談に来なくなるでしょう?」と言われ、「確かに…」としか言えませんでした。。)

WHERE: リーダーシップを発揮すべきなのはどこで?

リーダーシップは同じ成果を出すために同じ方向を向いて欲しい人たちがいる場で発揮すべきです。一人でやってみてうまくいってから皆に共有する・・・のは、やらないよりははるかに良いものの、もう一歩だと考えています。

リーダーシップは一人が発揮しているだけでは成果が大きくならず、継続性も生まれにくいと考えます。その影響する範囲は大小さまざまかもしれませんが、関係している人たちがそれぞれリーダシップを発揮した総量や、その重なりによってこそ期待通り、あるいは期待を超える成果に繋がっていくものだと思います。

WHAT: 何に対してリーダーシップを発揮すべきなのか

一言で言ってしまえば、「良いイシュー」で、詳細には参考図書にあげている『イシューから始めよ』に書いてある3点になります。

  • 本質的な選択肢である
  • 深い仮説がある
  • 答えを出せる

とは言え、いきなりこれを追い求めるのはハードルが高いですし、リーダーシップの発揮は習慣化していく必要がある性質のものでもあると思っています。そのため、ちょっとしたことで・・・例えば、やろうと思えば誰でも対応できるかもしれない、ちょっとした社内の困りごとについて自らリーダーシップを発揮して対応してみるのがおすすめです。

これは、優れたリーダーシップを発揮されている方のお話を伺っていると、自分に求められている役割がどのようなときでも、可能な範囲(もしくはそれをちょっと超えた範囲)でリーダーシップを発揮するという経験をごく小さなものから繰り返し積み上げていくことで、より広い範囲でリーダーシップを発揮できるようになっていることを観測しているためです。

WHO: リーダーシップを発揮すべきなのは誰なのか

リーダーシップを発揮すべきなのはマネージャーですか?リーダーですか? いえ、リーダーシップには権威・権限は不要で、誰でも発揮することができるはず・・・立場に関わらず意志を持って臨める人こそリーダーシップを発揮すべきです。

あなたの所属会社では、マネージャーとリーダーをポジション・ロールとして明確に定義しているでしょうか?両者を区別して扱っているでしょうか?

プロダクト開発にあたって、明確なポジション・ロールとして定義した場合は、プレイヤーとして組織の平均以上のスキル・能力も求められることが多いのではないでしょうか。そのため、組織の価値観に沿った形で、かなり広範囲にリーダーシップを発揮することが求められることになり、結果その任にあたれる人は絞られてくるかと思います。

また、暗黙のうちに広範囲で継続的なリーダーシップを求められることが多いと思います。 前述の定義によれば、「根拠となるファクトが揃っていない時」に求められるのですから心労も絶えません、、

・・・大変ですね。

ですが、マネージャーやリーダーになったからリーダーシップを発揮しよう!と考えている方はほとんどいないと思います。むしろその逆で、なんらかのリーダーシップを発揮してきた結果、マネージャーやリーダーを担うようになったはずです。

会社組織として予算管理、労務管理、コンプライアンス遵守などの任を遂行せねばならず、組織として一定の規模が出てくるとマネージャーは必要です。 一方で、組織の規模にかからわず必要なのがリーダーシップで、これは組織がある以上目標としている成果があるはずで、その達成には不可欠だからです。

この不可欠なリーダーシップを発揮している人にリーダーというポジション・ロールをつけることがある、というのが私の認識です。

せっかく組織だって活動をしているのだから、明示的なポジション・ロールに興味があるかないかは別にして、成果を残していくためにリーダーシップを発揮するという意識を持った方達と働けたら面白いなと思います。

エス・エム・エスで求められるもの

エス・エム・エスのプロダクト開発組織では「自治と信頼」を重要視しており、弊社内ドキュメントでは下記のように説明されています。

自治と信頼

ユーザー接点のチームが自立的に思考し意思決定していくために、上意下達で思考停止する組織でなく、自治と信頼をベースとした組織を目指していく。

あなたがコミュニティ

組織というコミュニティがなにかをしてくれるのではない。自治組織ではあなたがコミュニティ。あなたがコミュニティを代表する一人として考え行動することで自治組織になる。あなたが他人事だと思った瞬間から自治は崩れていく。機能性を担保するために役割 (ロール) を設定しプロトコルを決めることはあるかもしれない。でも、それがあなた自身のコミュニティへの責任を肩代わりするわけではない。役割によらずあなたも等しく責任を担っている。序列を強化することは権威勾配の高い関係性をつくり、コミュニティのパフォーマンスを悪化させる。序列はいらない。マーケットだけが王様だ。

参考

自治と信頼を継続していくためには、リーダーシップを発揮し続けられる仲間が欠かせません。

どういう状態を目指すのか・・と考えると、参考書籍にあげた「採用基準」という書籍のなかに出てくる「リーダーシップの総量」という表現が色々なことを内包していて非常に興味深いです。EMとして、ぜひ仲間を集め、リーダーシップの総量を上げて素晴らしい開発組織に成長させていきたいです。

最後に

取り止めのない話になってしまっている気もしますが、エス・エム・エスの「リーダーシップの総量」を上げて社会課題に挑んでみるのも面白いかも?と少しでも興味をもっていただける方はカジュアルなところからおはなしさせてください!We are Hiring!

参考書籍