初めて触れた介護業界 -QAができる価値提供について考える-

はじめまして!QAエンジニアとして、2023年3月にエス・エム・エスに入社した金川です。現在、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」のQA業務に携わっています。

この記事では、入社エントリとして私がエス・エム・エスを選ぶまでの経緯や、実際にエス・エム・エスで働いてみて感じたことなどをありのままに書いてみようと思います。

入社を少しでも検討している、そんな方へも参考になるものがあれば幸いです。「介護のことはよくわからないし不安……」という方もいらっしゃると思いますが、その辺りも後述しますのでご安心ください。 カジュアル面談も絶賛受け付けていますので、ぜひご応募いただけると嬉しいです。

入社まで

QAデビューの場は前職でした。もともとイラストを描くことが趣味ということもありペイントアプリを制作している会社に入社し、なんと入社初日にQAチームなるものに配属されることを知らされました。そこで初めてテストという業務を一から学びました。

そしてQAとして更なるチャレンジをしたく転職を考え始めた時期に、エス・エム・エスに勤めている知人に誘ってもらいカジュアル面談を実施してもらいました。

正直なところ私自身その時点では介護への知識は皆無だったのですが、面談の場で「介護業界へ貢献したい」という思いやビジョンを聞いて強く興味を惹かれました。介護はこれからも成長していく分野であり、自分自身や自分の子世代もいずれお世話になるであろう業界です。そのように社会から期待されているサービスに携われるということにとても関心を持ちました。

ほかに求めていた条件として、制限なく自発的に動ける、在宅業務でもコミュニケーションが円滑に取れる会社を求めていたところがあり、それらの部分がクリアできそうだったのでエス・エム・エスへの入社を決めました。

初めて触れる介護業界への不安を払拭する

エス・エム・エスへの転職で最も不安に感じていたのは、介護という領域への理解が不足していた点でした。先述の通り、前職ではペイントアプリという自分自身もユーザーとしての視点に立ちやすいプロダクトを扱っていたのに対して、介護という領域は馴染みのあるものではなかったため、QAとしてのスキルを前職時代と同じように発揮できるのかが不安でした。

しかし、この不安はオンボーディングのプロセスの中で払拭することができました。実は、エス・エム・エスに入社してくるメンバーには、私と同じように介護についての知識を元々持っていない方も多いので、エス・エム・エスのQA部門では前提知識がない方でも大丈夫なように、介護ドメインの知識を含めてオンボーディングの時間をしっかり取っています。

オンボーディングは具体的には以下のような流れで行われました。

1. 介護業界・ドメインについて知る

まず最初に、メンターからざっくり介護について説明してもらえる時間がありました。 社内には介護業界のあれこれについてまとめられた資料が様々あるので一つ一つ目を通していきます。 社内には元々介護業界にいたドメインエキスパート職の人もいて、そういった方々の知見も資料には含まれており参考になりました。

2. 「カイポケ」を実際に操作して理解する

マニュアルに沿ってユーザーの実際の操作を意識し、一通り機能を触っていきます。 「時間をかけてもいいから、じっくり触ってみてほしい」とメンターが言ってくれたので、自分のペースで操作を習得することができました。疑問が生じたときは都度Slackで質問を投げ、気付いた先輩がすぐ丁寧に教えてくれました。

私の場合は、先述の不安もあったため、長めに時間を取らせてもらいましたが、「早く実践で鍛えたい!」や「経験者だから不要!」という方もいると思うので、その辺りはメンターと相談しつつ柔軟に調整できます。

3. ジョイン先のチームごとに必要になる知識を身につける

カイポケの開発組織では、プロダクトごとのチームにジョインして業務に臨みます。担当するプロダクトによって必要になる業務知識や関わるメンバーも異なるため、各チームへのジョインにあたって必要な知識をオンボーディングでは付けました。チームのメンバーについての説明も事前にメンターからして貰えます。

QAができる価値提供

ここからは実務についての話です。

そもそもQAとは「品質保証」を指しており、バグを見つけることにとどまらず、ユーザーのニーズおよび満足感を満たしているかを考えて、プロダクトの品質向上に貢献することも重要な役割とチームでは捉えています。

後者の役割を果たすためには、ソフトウェアの仕様だけではなく、ソフトウェアの外側を含めたユーザーの業務を解像度高く理解する必要があります。

正直に書くと入社時点での介護へのイメージは「世話が必要な人の手助けをする」という単純なものしかありませんでした。 しかし裏では何時何分にこのサービスを提供したという記録や、月末月初に国民健康保険団体連合会(国保連)へ明細書や請求書を提出するいわゆる請求と呼ばれる作業など、様々な業務が付随していることがオンボーディングを経て理解できました。

カイポケのような電子ソフトがなかった時代は、それこそ紙にペンで記録するしかないわけですから夜中までずっと作業をしていたという話も耳に挟み驚きました。

ただ、オンボーディングで介護について学んだとは言っても、付けることができたのは机上での学習で得た知識のみです。QAとしてユーザーに近い目線で業務を理解するためには、現場の方の生の声を聞くことも大事なので、介護職に就いている知人にヒアリングをさせてもらえないかと考えました。実際に相談してみたところ、快く引き受けていただき、偶然カイポケのユーザーでもあったので、実際に使っている立場としてどのような感想を持っているか?も併せて質問させて貰いました。

最も印象に残ったのは、「実績を付ける」という記録業務です。

利用者さん毎にカレンダーがあり、利用があった日には「1」を付け、利用がなかった日には「×」を付けるという作業です。このように書くとシンプルに聞こえますし、私自身マニュアルを見ながら操作をした時には時間を掛けずにさっくりと済ませていた工程だったのですが、この作業に最も気を遣っているとお聞きしました。

実績登録機能の説明

現場では慌ただしく動くのでPCを常に持ち運ぶわけではなく、ボールペンを持って移動しては、テーブルの上に置いている紙にその時の記録を付けていくそうです。 紙からカイポケへの転記作業については「月末月初にまとめて行っている」とお聞きしました。毎日マメに付けると楽なのでは?と思ったのですが、「実績を付けることだけが介護の仕事ではないから後回しになりがち」という声を聞いて納得しました。やるべきことは山積みでほかにも時間のかかる作業が多いように伺っています。

[予定を実績にコピー]という事前に立てた予定をそのまま実績へも反映できる機能もあります。 マニュアルに基づいて操作をしている際では何度も使用したのですが、この方は実務で基本的に使わないそうです。あくまで予定は予定であって、たとえばデイサービス(通所介護)において利用者さんのご家族のお迎えがあり送迎減算という請求金額の変更が発生するような日もあるようです。そして金額計算に関わってくる作業なので、慎重に行いたいというようにもお聞きしました。

「予定を実績にコピー」機能の説明

ヒアリングを行ってみて、オンボーディングのみでは不足していたユーザーの業務を解像度高く理解するという点について一歩前進することができました。 もちろんユーザーによって業務の仕方・カイポケの使い方はそれぞれ異なるはずですが、[予定を実績にコピー]機能を使わずに日毎に記録を付けるユーザーもいることを知るというスタート時点に立てた上で、実績をさらに付けやすくするには現状のような月ごとの画面では編集しづらそう、じゃあどういった改善方法が考えられるんだろう、提供日別に利用者の実績を付けられる画面で先述のようなサービス提供内容の変更にも対応できた方が使いやすいかもしれない、など考慮を巡らせることができるようになりました。

この経験を経て、ユースケースの幅広い考慮を一層大事に感じました。 引き続きヒアリングなどを通じて情報のキャッチを行い、チームで共有して意見を交わし、ユーザーへの価値提供に繋げていきたく思っています。

これから

介護は、この国においてなくてはならないサービスです。 日本では高齢化社会が進んでいますし、利用者やその家族の生活を日々支えてくれています。 そのように社会からも大きく期待を向けられている業界ではありますが、介護保険法や請求制度などとても難しい部分が多いです。

だからこそ日々学ぶ姿勢を持ち、情報共有しつつ知見を広げていっています。書籍の購入は会社の費用で行えますし、定期的に社内での勉強会も開催されています。

「カイポケ」というプロダクトに対しても、みんなが我が子のように愛を持って向き合っています。 カイポケの使い勝手をより良くして記録業務の短縮に繋げるにはどのような実装方法が最も最適か?カイポケを通して更にユーザーをサポートするにはどんな機能が求められており必要なのか?と考えを巡らせては都度意見を交わし合っています。

QA部門ではユーザー価値を大事にして一緒に品質を考えていけるメンバーを募集しています!テスト実行に強い方、チームマネジメントに強い方、介護ドメインに強い方など幅広く求めています。 少しでも介護業界に、またエス・エム・エスにご興味を持っていただけたならこの記事を書いてみてこれほど嬉しいことはありません。