こんにちは、エス・エム・エスでカイポケコネクトのSREをしている小笠原翔太です。
2026年7月10日(金)・11日(土)の2日間にわたって開催された SRE NEXT 2026 に、エス・エム・エスは Goldスポンサー として協賛し、ブース出展とスポンサーセッションの登壇を行いました。ご来場いただいたみなさま、運営スタッフのみなさま、本当にありがとうございました!
この記事では、当日のブースの様子やアンケート結果、スポンサーセッションの内容、そして現地で感じたことを参加メンバーの視点からレポートします。
SRE NEXT 2026とは
SRE NEXT は、SRE(Site Reliability Engineering)をテーマに、信頼性に関わるエンジニアたちが一堂に会する国内最大級のカンファレンスです。今回はTOC有明を会場に、2日間にわたって開催されました。オンライン・オフラインを合わせると延べ1,000名を超える参加者が集まる、大盛況のイベントとなりました。
エス・エム・エスがスポンサーとして参加したのは、私たちが日々向き合っている信頼性の取り組みや、それを支える技術・チームのあり方をSREコミュニティのみなさんと共有し、対話したいという想いからです。介護・医療・ヘルスケア領域という社会性の高いドメインで、どのようにプロダクトの信頼性を作っているのか。その一端を知ってもらえる場にしたいと考えていました。
ブースのコンセプト
今回はエス・エム・エスから総勢6名が参加し、ブースの企画はみんなで考えました。
ブースづくりで意識したのは、カイポケコネクトの取り組みを紹介しつつ、訪れた方々とインタラクティブに交流できる場をつくる、ということでした。私たちがどんなチームで、どんな技術でプロダクト開発と向き合っているのかを、来場者のみなさんと対話しながら伝えることをコンセプトに据えています。
具体的には、大きく2つの展示を用意しました。
- アンケートパネル:SREに取り組むうえで「どの領域に課題・関心があるか」を来場者に投票してもらうパネルを設置し、それをきっかけに会話が生まれるようにしました。
- preview環境の紹介とソースコードの公開:スポンサーセッションで発表するカイポケコネクトのpreview環境の構成図やデプロイフローをパネルで掲示し、合わせてソースコードの公開を行い、リアルな開発の中身に踏み込んで話せるようにしました。
ノベルティとして、思わずクスッとしてしまうようなネタ缶バッジを何種類も用意しました。SREらしい「SREをはじめよう」「オブザーバビリティ」から、インフラならぬ「イソフラ」まで種類はさまざまで、来場者のみなさんにそれぞれお気に入りを選んでいただきました。
アンケート結果
ブースで実施したアンケートには、2日間で 261票 の投票をいただきました。「今の開発組織で“モヤッとしている”のはどこ?」という問いに対する結果がこちらです。
アンケート集計結果
| 領域 | 票数 |
|---|---|
| コスト | 49 |
| セキュリティ | 39 |
| 開発者体験 | 36 |
| ビルド・デプロイ | 35 |
| モニタリング | 35 |
| ビジネスとの距離感 | 28 |
| テスト | 20 |
| その他 | 19 |
もっとも票を集めたのは 「コスト」 でした。話を聞くと、生成AI導入による開発コストの増加やその管理方法に課題を感じている方が多くいました。続く 「セキュリティ」 については、昨今頻発しているサプライチェーン攻撃や生成AIに関する脆弱性が話題に上がることが多かった印象です。3番目に多かった 「開発者体験」 は、まさに今回のスポンサーセッションで扱ったテーマでもあり、多くの方が関心を寄せていることを肌で感じました。
また、票が特定の領域に偏らず、8つの選択肢に幅広く分散したことも印象的でした。SREに求められる役割の広さと、それぞれの現場が抱える課題の多様さが、この結果によく表れているように思います。
投票のあとには「うちのチームはこの領域で困っていて……」といった具体的な会話が自然と生まれ、パネルが対話のきっかけとしてうまく機能してくれました。
スポンサーセッション
今回はスポンサーセッションにも登壇し、私(小笠原)が 「PR単位で使い捨てるカイポケコネクトのpreview環境の設計と運用」 というタイトルで発表しました。
もともとカイポケコネクトの開発では、隔週のリリーストレイン方式を採用していましたが、そこにはいくつかの課題がありました。
- リリース周期が長い:隔週リリースのため、価値提供までに時間がかかる
- QA環境の占有:検証で環境を長期間ふさいでしまい、ほかの機能のテストがブロックされる
- 差分の肥大化:2週間分の変更が一度に本番へ入るため、問題が起きたときの切り分けが難しい
- リリース担当者への属人的な負荷
これらを解決するために取り組んだ施策の1つが、PR単位で自動的に構築・破棄される「使い捨てのpreview環境」 です。GitHubのラベルをトリガーに、PRごとの環境を自動で立ち上げ・更新・破棄し、アクセス情報はPRに自動で書き込まれます。こうした仕組みで、リリーストレイン脱却に向けて取り組みました。
技術的には、フロントエンドをCloudFront + S3、バックエンドを mirage-ecs(既存のECS構成に手を入れずに追加できる)で構成しました。DBは当初Neonから始め、その後Aurora Serverless v2へ移行しています。いずれも、リソースが逼迫する中でも運用負担を最小限に抑える技術選定を意識しました。
発表では、実際に1年間運用してみて得られた気づきや知見についてお話しさせていただきました。当初はQAメンバー向けを想定していた環境でしたが、蓋を開けてみると、開発者自身の自主的な動作確認に多く使われていました。具体的には、DB migrationの検証、複数PRの並行開発時の環境分離、ローカル起動が失敗したときの代替手段などです。「気軽に立てられる検証環境」が想定を超えてDXに大きな価値をもたらしていた、ということがわかりました。一方で、複製できない外部サービスとの付き合い方が実は難しいということも正直にお話ししました。
preview環境というコンセプト自体は以前から存在し、取り組み事例もオンライン上にいくつかあります。そのため当初は、あまり新鮮味のない発表になってしまうかもしれないと考えていました。ただ、セッション終了後にブースへ足を運んでくださった方々からは、様々なフィードバックをいただきました。「実はうちでもリリーストレインで困っているんです」「preview環境を導入したいので、もう少し詳しく構成を教えてください」「DBまで複製するのはよいアイデアですね」といった声です。こうした反応から、まだまだ関心の高いトピックであることがわかりました。
今回の事例が少しでも当日ブースに足を運んでくださった方や、この記事を読んでくださっている方の参考になれば嬉しい限りです。
発表資料は Speaker Deck で公開しています。ぜひご覧ください。
参加を通じて感じたこと
今回のSRE NEXTには、カイポケコネクトの開発推進チームを中心に、人事・広報のメンバー、SRE NEXT自体の運営に関わっているメンバーが参加しました。参加者は全員で6名です。ブースの設営や運営を一緒に進めたり、セッションの感想を語り合ったりする中で、リモートワーク中心の日常業務では生まれにくいコミュニケーションが自然とできたのは、現地参加ならではの価値だったと感じています。
また、来場者のみなさんと直接お話しする中で、改めて実感したことがあります。「エス・エム・エス」という社名は知っていても、私たちが実際にどんなプロダクトをどんな技術で作っているのかは、あまり知られていないということです。だからこそ、こうした場で技術やチームのリアルを伝えていくことの意味は大きいと感じています。
「このプロダクトに関わってみたい」「このチームで働いてみたい」と思ってもらえる発信を続けていくことの大切さを、改めて感じる2日間でした。
まとめ
Goldスポンサーとしてのブース出展とスポンサーセッション登壇を通じて、SREコミュニティのみなさんとたくさんの対話ができ、私たち自身も多くの学びと刺激をいただきました。
引き続き、技術コミュニティへの貢献と、エンジニアとの接点づくりを大切にしていきたいと思います。ブースに立ち寄ってくださったみなさま、運営スタッフのみなさま、そして一緒に準備・運営を進めたメンバーへ、改めて感謝します。ありがとうございました!
