はじめに
こんにちは、カイポケのリニューアルプロジェクトを担当しているプロダクトマネージャーの田村恵(@megumu_tamura)です。
カイポケが価値提供している介護業界は、日本をはじめとする多くの先進国で急速に進む高齢化社会に対応するために欠かせない分野です。しかし、介護業界に携わっていない方にとっては、まだまだ身近な存在ではないかもしれません。今回は、介護を少しでも身近に感じていただけるよう、介護業界の概要や課題についてお話ししたいと思います。
そもそも介護とは?
少し想像してみてください。もし自分が年を重ね、日常生活の一部が難しくなったとき、誰に助けを求めますか?そして、どのような支援があると安心できるでしょうか?介護は、そんなときに必要な支援を提供するためのサービスです。
介護サービスは、ただ身体的なケアをするだけでなく、利用者の尊厳を守り、生活の質を向上させることを目指しています。たとえば、病気や怪我をしたときに医療が必要になるように、介護は日常生活を支えるための重要な存在です。利用者が自立した生活を送れるよう支援し、家族の負担も軽減します。
介護が必要になった時に、すぐに介護サービスが受けられるわけではありません。介護サービスを利用するためには、市区町村への申請が必要で、要介護認定を受けた後に、ケアマネジャーが個別のケアプランを作成します。このケアプランに基づいて、適切なサービスが提供されるのです。
(介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」より)
こうしたプロセスを経て提供される介護サービスは、利用者とその家族にとって安心の源です。私たちが日々当たり前に過ごしていることを、誰かが支えてくれていると考えると、その重要性がより実感できるのではないでしょうか。
介護業界の現状と課題
高齢者の増加に伴い、介護業界ではスタッフ不足や業務の過重労働が深刻な問題となっています。そのため、効率的な介護サービスの提供とスタッフの負担軽減が急務となっています。
1. 慢性的なスタッフ不足
介護業界では、スタッフの確保が困難な状況が続いています。高齢者の増加に伴い、介護サービスの需要が増加していますが、介護サービスを提供するために必要なスタッフ(主に介護職員)を確保することができていません。有効求人倍率は施設系や通所系サービスで3.79倍、訪問系サービスでは15.53倍にも達しています。
(「厚生労働省老健局 社会保障審議会介護給付費分科会(220回)」資料1より加工して作成)
厚生労働省の報告によれば、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされています。このような人材不足の問題は、介護サービスの提供体制に大きな負荷をかけており、現場のスタッフは限られたリソースの中で多くの業務をこなさなければなりません。
(「第9期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和6年7月12日)」別紙1より)
2. 業務の非効率性と情報共有の課題
介護事業所では、依然として紙ベースの記録や手作業が多く残っており、業務の効率が悪い状況が続いています。特に、事業所間の情報連携にはFAXが使われることが多く、情報の一元管理や迅速なデータアクセスが難しい状況です。こうした状況は、業務の遅延やミスの発生を招き、スタッフが本来のケアに集中できる時間が減少しています。
厚生労働省の「令和5年介護事業経営実態調査結果」では、業務効率化のためのIT導入が強く求められています。ITの導入が進むことで、紙ベースの記録やFAXによる連携がデジタル化され、業務の効率化が進むと期待されています。
介護業界の魅力
ここまで現状と課題についてお伝えしてきましたが、介護業界は、非常に意義深い業界です。多くの介護事業者が、高齢者への深い愛情と献身を持ってこの仕事に取り組んでいます。彼らはただサービスを提供するだけでなく、利用者一人ひとりに寄り添い、心からのケアを行っています。このような姿勢が、介護業界の大きな魅力の一つです。
介護業界で働く人々は、日々の業務を通じて利用者の笑顔や感謝の言葉を直接感じることができ、それが彼らの大きな励みとなっています。介護の仕事は、決して楽なものではありませんが、その分やりがいや達成感も大きいのです。
また、介護事業者の多くは、理想の介護を実現するために事業を立ち上げています。彼らは、自分たちの手で高齢者の生活をより良いものにしたいという強い意志を持っています。このような事業者たちと共に、介護業界の課題を解決し、より良い社会を作り上げていくことは、非常に価値のある取り組みです。
さらに、介護業界はICTを活用して業務を効率化し、現場の負担を軽減する余地が大きい業界でもあります。介護現場のニーズに応えるためのプロダクトやサービスを提供することで、業界全体の発展に貢献することができます。私たちが提供する価値は、介護事業者がその理想を実現するための重要なサポートとなるのです。
介護業界は、高齢化社会が進む中でますますその重要性を増しています。この業界で働く人々にとって、介護は単なる仕事ではなく、人生の大切な一部です。私たちが提供するプロダクトやサービスで、介護事業者の皆様の熱意や努力を支え、さらに大きな成果を生む手助けをしていきたいと強く思っています。
介護業界経験のないエンジニアやデザイナーのみなさんへ
「介護業界のことやカイポケのことは少しわかったけど、なんだか難しそう」と不安に感じたエンジニアやデザイナーのみなさん、安心してください!エス・エム・エスでは、介護業界の経験がない方々にも入社後に知識を習得してエンジニアやデザイナーとして活躍してもらえるように様々な仕組みや取り組みを用意しています!実際、エンジニアやデザイナーのほとんどの方は介護業界は未経験、知識もない状態で入社しています。
介護業界の知識も学べる入社時研修とワークショップ
エス・エム・エスでは、新たに入社するエンジニアやデザイナーに対して、1日半にわたる介護ドメインの内容を含んだ研修を実施しています。この研修では、介護業界の基本的な知識から、実際の事業所での業務フロー、そしてカイポケがどのように活用されているかを学びます。講義形式だけでなく、ワークショップ形式も取り入れており、具体的なケーススタディを通じて実践的な知識を身につけることができます。これにより、新入社員は現場で直面する課題を理解し、どのように解決していくかを実践的に学ぶことができます。
入社後もいつでも業界経験者などから最新情報を教えてもらえる環境
また当社では、介護ドメインについて詳しくないエンジニアやデザイナーが安心して働けるよう、以下のサポート体制を整えています。
- 専門知識の共有: 社内のSlackチャンネルやバーチャルオフィスのoviceというツールなどを使って、業界経験者に気軽に質問できる環境を提供しています。これは、日々の業務の中で生じる疑問や不安を即座に解消するための重要な手段です。
- 定期的な介護業界勉強会の開催: 毎週水曜日の17:30から30分間、介護ドメイン経験者による勉強会を実施しています。テーマは多岐にわたり、実際の事業所での経験や介護業界のトレンドについて学ぶことができます。これにより、チーム全体が常に最新の知識を共有し、業務に活かすことができます。
これらの取り組みによって、エンジニアやデザイナーが、それぞれのスキルを活かして介護業界に貢献できるよう、安心して働ける環境を提供しています。私たちと一緒に、介護業界の未来を作り上げていきませんか?