はじめまして。人材紹介開発グループで看護師向け人材紹介「ナース専科 転職」のWEB開発を担当している藤井と申します!
2024年4月に当社に入社してからあっという間に1年が経過しました。本稿では主にスクラムに関して入社当初に私が感じた課題と、課題に対して行ってきたアクションをご紹介できればと思います。
※私を含めた開発を行うエンジニアチームと事業部のマーケター(主には集客に責任を持ちつつ、事業成長をミッションとするマーケティング組織)が度々登場するため、それぞれ「開発チーム」「マーケター」と呼ばせて頂きます。
スクラムの体制について
「ナース専科 転職」では以下のスクラムイベントを1週間スプリントで実施しています。
- デイリースクラム
- スプリントプランニング
- スプリントレトロスペクティブ
- リファインメント(適宜)
リリースが適宜行われる運用体制のため、スプリントレビューとしてまとまった時間をとって行うのではなく、タスクごとに担当者がマーケターと成果物の確認を実施しています。
入社時に感じた課題
私はチームがスクラムを取り入れて半年程度の頃に参画したため、当時はチームが徐々にスクラムに慣れてきている段階でした。その状況で私は特に「開発チーム内の透明性」と「開発チームとマーケターの距離」に改善の余地があると感じていました。
開発チーム内の透明性
- デイリースクラムで対応内容の共有は行っていたものの基本的に個で動いていた
- 何がチームで課題となっているかの把握が難しかった
- 日中困った時に相談するのに障壁があった
開発チームとマーケターの距離
- 週1回の定例でタスク依頼の共有が行われる以外は基本担当者同士でやりとり
- マーケターはスクラムには未参加
- 開発チームもマーケターもお互いが何をしているのか把握しづらい
上記のような事象が発生していることでスクラムの三本柱である「透明性・検査・適応」が十分に機能し切れていなかったため、これらを改善することでチームとしてさらに成長することができると考えていました。
実践アクション
上述した課題を解決するために、「チームビルディング」「スクラムイベントの改善」「コミュニケーションの改善」の大きく分けて3つの観点から改善のアクションを実施しました。
- チームビルディング
- スクラムガイドの読み合わせ
- スキルマップの作成
- ドラッカー風エクササイズ
- ワーキングアグリーメント
- スクラムイベントの改善
- デイリースクラム
- レトロスペクティブ
- リファインメント・プランニング(マーケターの参加)
- コミュニケーションの改善
- 開発チームとマーケターで1on1ミーティングの実施
- オフラインイベントの実施
それぞれについて詳しく紹介していきます。
チームビルディング
まず始めに、開発チーム内でメンバー間の距離を縮めると同時にスクラムに対する認識を合わせようと思いチームビルディングを実施しました。
ここでご紹介するチームビルディングは主に『アジャイルサムライ(Jonathan Rasmusson著 20011.7.16)』に記載の内容を参考にして行いました。
活動 | 内容 | 成果 |
---|---|---|
スクラムガイドの読み合わせ | スクラムガイドを元に現状のチーム体制になぞらえた資料を作成して読み合わせ | 現状の課題とどうあるべきかについての擦り合わせを行うことができた |
スキルマップの作成 | 開発に求められるスキルを列挙し、そのスキルに対する習熟度への自信を回答 | チームの強み・弱みの把握や困った時の拠り所の発見に繋がった |
ドラッカー風エクササイズ | 自分は何が得意なのか・大切に思う価値は何か・何を期待されていると思うか・他のメンバーに何を期待するかを発表し合う | メンバー間の認識を合わせると同時にモチベーションの向上にも繋がった |
ワーキングアグリーメント | マインドとアクションの両側面で意見を出し合い、チームの約束事と大事にすることを決める | より働きやすいチームにするためにお互い意識すべきことを話し合う良い機会になった |
スクラムイベントの改善
デイリースクラム
デイリースクラムは状況報告の場になっていたため、スプリントの検査を適切に行うための場にすることを意識してアクションを実践しました。
- 改善前:デイリースクラムまでにまとめておいた昨日やったこと・今日やること・困っていることを共有
- メンバーによって情報の粒度が違い状況が把握しにくかった
- スプリントの全体像がわからず検査がしにくかった
- 改善後:スプリントに積まれたバックログアイテムをベースにして各自昨日やったこと・今日やること・困っていることの共有
- スプリント全体のタスクを見渡せるので臨機応変に動きやすくなった
- バックログ上に開発時のメモやマーケターとのやりとりなどが記載されているので内容の把握がしやすくなった
レトロスペクティブ
レトロスペクティブはチームでのふりかえり自体はできていたので、そこからさらに具体的なアクションへの落とし込みができればもっと良いものになると感じていました。
- 改善前:毎週のスプリントでの出来事をKPTA法でふりかえり
- その場その場でのふりかえりはできていたが、スクラムが改善していっている実感は薄かった
- アクションアイテムの決定にあまり注力できていなかった
- 改善後:毎回テーマを決め様々な手法を使ってふりかえりを行い、毎回アクションアイテムを議論する時間を設けた
- テーマに応じて異なる手法(5つのなぜ、YWT、小さなカイゼンアイデア、etc)を使って効果的なふりかえりを実施(マンネリ化の防止も)
- miroを使って自分が気になった・共感した付箋に対してスタンプをつけ、関心が集まった内容について議論
- 2,3個に絞ったほうが次スプリントのアクションとして実践しやすく毎週続けやすかった
- 多くのメンバーの関心がある効果的なアクションが決められるため、チームとして改善を進めていると実感できた
- レトロスペクティブ自体のふりかえりも定期的に行い、より有意義な時間となるよう意見を出し合っている
リファインメント・プランニング(マーケターの参加)
リファインメント・プランニングはこれまで開発チームだけで行なっていましたが、マーケターとも話し合い、スクラムに本格的に参加してもらうよう体制を変えていきました。
- 改善前:マーケターはスクラムに未参加
- マーケターが開発チームの状況を把握できる場がなかった
- スプリントに積むタスクの意思決定を開発が行っており認識相違が発生していた
- 改善後:毎週のリファインメントとプランニングに入ってもらう
- 透明性が格段に上がったことで認識相違が減った
- リファインメントの際に確認作業もその場で効率的に済ませられるようになった
- 環境改善タスクの必要性も理解してもらえて負債の解消タスクもスプリントに積みやすくなった
コミュニケーションの改善
開発チームとマーケターで1on1ミーティングの実施
こちらは人材紹介開発グループのグループ長である@kenjiszkさんの提案で、担当領域ごとに開発チームのメンバーとマーケターのリーダーで主に情報共有を目的とした定期的な1on1ミーティングを実施するようになりました。
- 改善前:タスク依頼の共有を行う定例でしか話す場がなかった
- マーケターの業務に関する情報を知る場がほとんどなかった
- マーケターが小さな相談をしたい時にコミュニケーションする場がなかった
- 改善後:週次で1on1ミーティングを実施することでコミュニケーション活性化
- お互いの状況を把握できて相談しやすくなった
- この1on1ミーティングの実施が開発チーム・マーケター間の関係性を強めるきっかけになった
オフラインイベントの実施
こちらは改善のアクションという名目で行ったわけではないのですが、様々な改善を行ってきた結果、開発チームとマーケターで本社でのオフラインイベントを実施することができました!
【イベントの詳細】
- チーム対抗NASAゲーム(チームで合意形成を行うコンセンサスゲームの一種)
- この後のふりかえりをチームで行うため、先にチームの雰囲気を良くする意図
- 話したことがない人とも話すためお互いの自己紹介も兼ねていた
- 開発チーム・マーケターの体制についてふりかえり
- チームごとにふりかえりを行い、アクションアイテムを出し合う
- それぞれのチームから出たアクションアイテムを共有し、特に関心が集まった内容から開発チーム・マーケター合同のネクストアクションを決定
- 「アジャイルの各イベントをマーケターにもっと浸透させる」「開発チームに対して事業状況の共有と施策のふりかえりを行う」等のお互いに理解を進めるための良いアクションアイテムが決定
- 最後にお世話になった人たちにmiroで感謝を伝えあう
【イベントを終えて】
「すごく楽しかったです!」「とても良い取り組みでした!」と色々な人に言っていただけて嬉しかったです。 企画から当日の進行まで私が責任を持って任せて頂いたため、本番前の一週間はうまくいくか心配で寝つきが悪かったですが頑張ってよかったです。
個人的にはこのイベントを実施したことでマーケターのリーダー以外のメンバーの人たちとも話しやすくなったと感じたので何よりでした。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。入社時に主にスクラムに関して私が感じた課題とそれに対するアクションをご紹介させていただきました。
以前より開発チームとマーケターの距離が縮まったものの、タスクの管理方法やより効率的なミーティングの設計など課題は多く残っています。
それらの課題を改善していくと同時に、今後サービスをより成長させるためにマーケターと協力しながら何ができるのかを考え実践していこうと思います。